IgG4 関連疾患(IgG4-RD)は種々の疾患を全身に来すことが知られている。 IgG4-RDには慢性鼻副鼻腔炎 (CRS) を高率に合併することが知られているが、そのCRSがIgG4-RDと同じ病態によって形成されているのか明らかでない。我々は、IgG4-RDに伴うCRSとその他のCRSの篩骨洞粘膜において、IgG4-RDの病態形成に重要といわれている免疫グロブリンクラススイッチ関連分子であるAID、Treg及び免疫担当細胞に関して、差異があるか免疫組織化学的に検討した。 対象は2009年3月16日から2016年1月7日に当科で内視鏡下副鼻腔手術を行ったCRS患者30例とし、以下の4群に分類した。A群;IgG4-RDに伴うCRS (n=6)、B群;血清IgG4値、IgE値が正常であるCRS (n=12)、C群;血清IgG4値正常、IgE高値のCRS (n=8)、D群;血清IgG4高値、IgE高値でIgG4-RDのないCRS (n=4)。これらの各群におけるAID陽性細胞数、Treg の転写因子であるFoxp3陽性細胞及び各血球細胞数を比較した。 その結果、IgG4-RDに伴うCRSの篩骨洞粘膜において、AID陽性細胞、Foxp3陽性細胞、CD20陽性細胞が有意に増加していることがわかった。 従って、IgG4-RDに伴うCRSの副鼻腔粘膜において増加したCD20陽性細胞が、AID及びTregの産生するサイトカインにより免疫グロブリン産生をIgG4へ誘導することで、副鼻腔粘膜でIgG4陽性細胞が増加している可能性が推測された。これらのことより、IgG4-RDに伴うCRSは、IgG4-RDと同じ病態により形成されていると考えられた。
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