IgG4-RDに伴う慢性副鼻腔炎(CRS)とその他のCRSの篩骨洞粘膜において、IgG4-RDの病態形成に重要といわれている免疫グロブリンクラススイッチ関連分子であるAID、Treg及び免疫担当細胞に関して、差異があるか免疫組織化学的に検討した。その結果、IgG4-RDに伴うCRSの篩骨洞粘膜においてはコントロールの篩骨洞粘膜と比較して、AID陽性細胞、Foxp3陽性細胞、CD20陽性細胞が有意に増加していることがわかった。 従って、IgG4-RDに伴うCRSの副鼻腔粘膜において増加したCD20陽性細胞が、AID及びTregの産生するサイトカインにより免疫グロブリン産生をIgG4へ誘導することで、副鼻腔粘膜でIgG4陽性細胞が増加している可能性が推測された。さらにIgG4-RDに伴うCRSでのAID陽性細胞、Foxp3陽性細胞、CD20陽性細胞の優位な増加は、同じ患者の下鼻甲介粘膜ではみられなかった。これらのことより、IgG4-RDに伴うCRSは、IgG4-RDと同じ病態により形成されていると考えられた。
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