IgG4-RDに伴う慢性鼻副鼻腔炎の鼻粘膜や副鼻腔粘膜に,特徴的に発現亢進するIgG4上昇やIgG4クラススイッチ亢進する因子 (同時にIgEも亢進する因子) を同定することを目的とした。IgG4クラススイッチ亢進する因子としてactivation-induced cytidine deaminase (AID)が知られ,これらの発現がIgG4-RDに伴う慢性鼻副鼻腔炎の鼻粘膜や副鼻腔粘膜に,特異的に発現亢進しているか検討する。 慢性鼻副鼻腔炎症例を,①群 (IgG4関連疾患に伴う慢性鼻副鼻腔炎,高IgG4血症かつ高IgE血症) (n=6),②群 (高IgG4血症,高IgE血症であるがIgG4関連疾患でない慢性鼻副鼻腔炎) (n=10),③群 (高IgG4血症,血清IgE正常のIgG4関連疾患でない慢性鼻副鼻腔炎) (n=10),④群 (血清IgG4正常,高IgE血症のIgG4関連疾患でない慢性鼻副鼻腔炎) (n=10),⑤群 (血清IgG4,IgE共に正常のIgG4関連疾患でない慢性鼻副鼻腔炎) (n=10) の5群に分類する。各群の鼻粘膜 (下鼻甲介粘膜),副鼻腔粘膜 (篩骨洞粘膜)におけるIgG4クラススイッチ亢進する因子AIDをReal time PCR法にてmRNA発現の定量を行い,比較検討した。①群においては、他の群と比較して有意に高いAIDの発現を認めた。したがって、IgG4関連疾患に伴う慢性副鼻腔炎の副鼻腔粘膜においても、これまでのIgG4関連疾患でみられるのと同様なIgG4誘導の機序が認められた。
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