研究課題/領域番号 |
16K11228
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
峯田 周幸 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40190714)
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研究分担者 |
三澤 清 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90334979)
遠藤 志織 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (10625205)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 頭頸部がん / エピゲノム / リプログラミング / 転写因子 |
研究実績の概要 |
研究初年度から、頭頸部癌細胞株から頭頸部初期化癌細胞を作成のため、頭頸部癌で高発現している転写因子SALL4遺伝子のノックダウンを行った。細胞は形態変化を起こし細胞増殖能は顕著に低下した。現在この細胞からのmRNAを次世代シークエンサーにて網羅的メチル化解析・mRNA発現解析を行っている。脱分化させた細胞と脱分化前の細胞との間のメチル化パターンの違いについて解析している。今のところ、SALL4遺伝子のノックダウンによって、DNAメチル化酵素DNMT3A, DNMT3Bが低下し、脱メチル化酵素のTET1、TET2、TET3の発現が一部上昇することを確認している。何かしらのエピジェネティックな変化が生じ細胞初期化現象がおこっているものと推察された。また頭頸部癌の臨床検体を使った解析で、SALL4遺伝子は癌部で有意に高発現し、SALL4遺伝子高発現群は有意に予後不良であった。また、主要ながん抑制遺伝子である10遺伝子のメチル化解析でSALL4高発現群は有意に高メチル化を認めた。以上の結果から、SALL4遺伝子は頭頸部癌においてエピジェネティックリプログラミングを起こす因子である可能性を示した。来年度は、SALL4阻害剤の頭頸部癌での効果を細胞株を使って確認する予定である。EZH2は癌幹細胞マーカーであり、またヒストン修飾酵素でもある。EZH2は、多く癌細胞で高発現していて頭頸部癌でも高発現していることを我々は調べている。その働きとして、組織多様性に関連していることが注目されている。組織多様性をもった腫瘍は治療標的が絞りにくく難治性であることが多い。EZH2阻害剤の開発競争は激しく、新しい薬剤が次々と開発されている。EZH2阻害剤の新薬を我々の作製する癌幹細胞への治療効果をin vitroで調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目の実験計画は予定通り終了した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の実験計画を履行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね予算の実行を行えた。
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