研究課題/領域番号 |
16K11231
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
花本 敦 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター), 臨床研究センター, 医長 (20625917)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 甲状腺癌 / ワールブルグ効果 |
研究実績の概要 |
当院での手術症例に関してIRBにて承認された書類で同意を得たうえで甲状腺癌の組織のサンプリングを施行した。当院にて甲状腺癌の症例が50症例程度施行し、その中FDG-PETを施行した症例は15症例程度となった。研究責任者が当院に異動になったのが2017年4月であったが、それから2019年3月までの2年間に当院で研究責任者が施行した甲状腺副甲状腺症例は98症例であった。その中で甲状腺悪性腫瘍は48症例であり、分化型甲状腺癌は42症例であった。甲状腺癌症例に関して原則はFDG-PETを撮像した症例の組織は液体窒素にて保存としたが、手術では不確定要素もあり現状では12症例の組織検体の確保ができている。院内における検体の安定したサンプリングと保存のシステムの構築ができた。また病理結果に関しては2017年にWHOの第4版にて甲状腺癌の分類が変わった。この変化を反映するための学習を行い、研究結果は最新の第4版の基づいた結果とする予定としている。当院での症例はまだ経過観察期間が短いが全例再発、大きな合併症なく経過している。そのため何をイベントとするかが今後の課題となりそうである。当面が甲状腺癌の大きさ、病理結果、とFDGの集積(グルコールの代謝)との関連性を確認したい。さらにはFDG-PETを施行している症例の多くは進行がんでありハイリスク群として術後の放射性ヨード内用療法を施行している。そのためI131の取り込みの有無の確認も可能な状態にある。このが画像を定量的に解析し、FDG、ヨード、メタボロミクスとの関連性、またCT、エコーにおける不均一性に関しても検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時は大阪大学耳鼻咽喉科に所属しており、同施設での検体での研究を予定していたが、人事異動に伴い、当院での症例を研究対象とすることとなった。そのためサンプリングがやや遅れており、全体としての研究のペースが遅くなっている。しかし年々甲状腺癌の症例数が増加しているため今回の研究期間の間に症例を集めることができると考えている。今後は症例の増加と施設での検体の処理、解析に関して慣れていくと考えるので、今後研究が順調に進んでいくと想定される。研究に必要な画像解析ソフト、統計解析ソフトは購入済である。適宜学会に参加して、最新の甲状腺癌に対する治療法、考え方、病理学での最新の情報をアップデートを行っている。施設が変わって症例を再度収集する状態となったため、研究の遅延はやむない部分もあるかと思われる。しかし環境は整いつつあるため、しっかりと結果につなげていきたい。症例と検体がそろえば一気に研究は進むと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
対象となる甲状腺癌症例に対してPETの画像よりデータの回収し、PETSTAT(昨年購入した画像解析ソフト)にて解析を行う。集積の最大値であるSUVmax、関心領域内の平均値であるSUVmean、閾値以上の容積であるMTV、閾値以上のSUVの和であるTLGを算出する。また不均一性の指標であるSUV histogram、NGTDM(neighborhood gray-tone difference matrix)、NGLCM 3D(normalized gray-level co-occurrence matrix for volumetric data)GLSZM(gray-level size zone matrix)を算出行う。これらの値はPETSTATにて腫瘍に対する関心領域(解析対象となる範囲)を決定するだけでほぼ半自動的に計測が可能である。予備実験はすでに行っており、これらの解析手技は身に着けている。予後、治療法に関しての統計学的な解析対象となる患者の予後調査を行う。再発の有無、遠隔転移の有無、死亡の有無を確認し、無増悪生存率、粗生存率の算出行う。またCOXの比例ハザードモデルを用いて、単変量、多変量解析を行い、予後予測因子を算出する。また治療側の要素としては、ハイリスク群での現在の標準的な治療である甲状腺全摘+アブレーションあるいは甲状腺葉峡切除か、また遠隔転移や切除不能な部位に対する放射性ヨード治療、あるいはTKI投与の有無を修飾因子として解析に加える。FDG-PETから得られるパラメーターが予後予測として優れているかの検討を行う。メタボローム解析への提出収集したサンプルを用いてメタボローム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費の採用が申請時期より半年遅くに採用となり基金の利用ができるようになったため、想定期間より半年短くなってしまった。そのため予定通りに進行していてもあと半年は遅れることとなるため、次年度使用額が生じた。また研究責任者が科研費採用後に医局人事のため異動となり、転勤先の研究室にて研究の立ち上げを行う必要があった。そのため研究自体進行が遅くなっている。また次年度使用額の使用計画としては抗体や試薬のために50万程度の使用を見込んでいる。また学会は発表や統計解析のためにも使用する予定としている。サンプリング終了したものに関しての解析を行っていく予定としている。
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