研究実績の概要 |
甲状腺癌の治療としてのハイリスクとローリスクの間であり、治療法が明確に決まっていないグレーゾーンに属する症例のリスク分類が可能であるか検討した。グレーゾーンの中でSUVmax, MTVなどの各種パラメーターが予後と相関するか解析を行った。再発の有無、遠隔転移の有無、死亡の有無を確認し、無増悪生存率、粗生存率の算出を行った。COXの比例ハザードモデルを用いて、単変量、多変量解析を行い、予後予測因子を算出した。この結果においてはSUVmax、MTVともに高い群の方が予後不良であった。これらの予後不良群の性質を解析するために甲状腺癌の手術症例でのサンプリングを継続し解析ができる環境とした。FDG集積と代謝のバランスの変化、また予後不良群における代謝の状況やそれから得られる新たなバイオマーカーや治療のターゲットを同定するために、以下の蛋白質に対する免疫染色を行った。①ヨードの取り込みのトランスポーターであるSodium Iodide Symporter(放射性ヨード治療に関与している)、②癌においてブドウ糖の取り込みに一番関与しているトランスポーターであるGlucose Transporter 1(GLUT1), ③嫌気性代謝に関与しているLactate Dehydrogenase A(LDHA), ④乳酸を細胞外に排出するトランスポーターであるMonocarboxylate Transporter 4(MCT4), ⑤好気性代謝に関与しているFatty acid synthetase(FAS), ⑥細胞周期関連蛋白質であり癌の増殖能力とも関連しているとされるKi-67。これら蛋白質の発現と予後との相関は統計学上有意ではなかった。
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