• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

ヒト乳頭腫ウイルス陽性中咽頭癌における高放射線感受性機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K11241
研究機関横浜市立大学

研究代表者

西村 剛志  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30381510)

研究分担者 佐野 大佑  横浜市立大学, 医学部, 講師 (10620990)
高橋 秀聡  横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (50727196)
折舘 伸彦  横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90312355)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードヒト乳頭腫ウイルス関連中咽頭癌 / 放射線感受性
研究実績の概要

ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)陽性中咽頭癌は放射線感受性が良好であることが知られているがその機序は不明なまま臨床で利用されてきた。HPVには悪性腫瘍と関連するハイリスク型と呼ばれる15種の型が存在するが、そのうち頭頸部癌を誘発するものの大部分がHPV16型である。HPV16型関連んお頭頸部癌ではp16タンパクが高発現し、このことがcyclin D1/RAD51複合体形成を介したDNA修復能の増強を抑制し、結果として放射線感受性が高まることを予測している。本研究では頭頸部癌細胞におけるp16、cyclin D1発現を変化させ、両者の発現量の関係から相互作用の有無を確認することを基本とする。
HPV関連悪性腫瘍として研究が盛んな子宮頸癌においては癌化の過程でヒトゲノムおよびHPVゲノムにおけるエピゲノム変化が複数報告されているが、頭頸部癌ではHPVゲノムのDNAメチル化レベルの変化の役割は不明である。HPV関連頭頸部癌の大部分がHPV16型によること、HPV16型感染ではp16タンパクが高発現となることからp16、cyclin D1発現を変化させる前段階としてHPVゲノムの組み込みによる部位および組み込みに伴うDNAメチル化の変化の解析を行った。解析した細胞株では組み込みは主に遺伝子間領域に生じていた。組み込まれたHPVゲノムと隣接したヒトゲノムのエピゲノム変化を測定した結果、個々のリード毎のヒトゲノムとHPVゲノムには有意な相関関係を認めた。組み込まれたHPVゲノムのメチル化レベルと隣接したヒトゲノムのメチル化レベルの関係を検証した結果、隣接したヒトゲノムのメチル化レベルが高い部位に組み込まれたHPVゲノムは高度にメチル化されており、一方隣接したヒトゲノムのメチル化レベルが低い場所では組み込まれたHPVゲノムのメチル化レベルも低い傾向を示していることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Cyclin D1低発現は放射線治療の感受性向上に寄与しているが、HPV陽性中咽頭癌ではHPV陰性中咽頭癌に比べてcyclin D1が低発現している[1]。MicroRNAは特定の遺伝子をターゲットとしてその発現を抑制的に変動させるが、cyclin D1の制御にもmicroRNAが関与している可能性を考慮した。現在HPV陰性癌で高発現したmicroRNAのうちcyclin D1を抑えているものを検討し、またそのmicroRNAがp16により調節されているかどうかも検討中である。

[1]Dok R et al. Cancer Res 2014

今後の研究の推進方策

①HPV陽性中咽頭癌細胞株とHPV陰性中咽頭癌細胞株を用いてmicroRNA microarrayを行い,それぞれの細胞株でのmicroRNA発現を解析する。
②①の結果を用いてHPV陽性中咽頭癌で高発現したmicroRNAを選別する。
③Public database (Targetscan)でcyclin D1をターゲットとするmicroRNAを選別。①で選別されたものと相関するものを更に選別する。
④HPV陽性中咽頭癌細胞株に対して、Transident transfection試薬(microRNA-mimicあるいはAnti-microRNA-inhibitor)を用いて、①②で選別されたmicroRNAの発現を変動させる。microRNAの発現変動に伴いcyclin D1の発現量が変化しているかqPCRやwestern-blotで確認する。また、直接的な関連をLuciferase reporter assayでも確認する。
⑤cyclin D1を制御するmicroRNAとp16の関連の検討。昨年のsgRNAによりp16の発現を変動させた細胞株を用いて、p16の発現量と③までで選別されたmicroRNAのうち発現量が相関するものを検討する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)平成29年度の研究効率を工夫したことにより試薬をはじめとする消耗品の使用量が少なく物品費の支出が抑制されたため。

(使用計画)研究の進捗速度を亢進させるため平成30年度の謝金へ充填する予定である。

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi