研究課題/領域番号 |
16K11251
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
北村 拓朗 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60341509)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 睡眠呼吸障害 / 睡眠時無呼吸症候群 / レム睡眠 |
研究実績の概要 |
当該年度に産業医科大学若松病院の睡眠呼吸障害外来を受診し、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の診断目的にて終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography: PSG)を受けた成人患者のうち、無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index: AHI)が5以上、かつPSG中にレム期、ノンレム期ともに30分以上認められ、CPAP、口腔内装置、外科的手術を受けたものを対象に臨床研究を行っている。当該年度は約120名の新規睡眠ポリグラフ検査を行い、上記に該当する成人患者90名のうち、58名に持続的陽圧呼吸療法(CPAP)治療、14名に口腔内装(oral appliance: OA)による治療を開始した。これらの患者群をレム期の無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)がノンレム期のAHIの二倍以上である群(レム関連睡眠呼吸障害群)とそれ以外に分類し、それぞれの治療に対する反応性(アドヒアランス、自覚症状の改善)についてデータを収集中である。結果については現在解析途中であるが、CPAPを開始した対象者の比較ではレム関連睡眠呼吸障害群ではアドヒアランス、自覚症状の改善度が低い傾向を得ている。とくに一日あたりの使用時間が有意に少ない結果を認めている。また患者の年齢、性別、身長、体重、血圧、既往歴、使用薬剤などの基礎的情報に加え、上気道の解剖学的異常について、頭部X線規格写真による顎顔面形態の評価(セファロメトリー)、鼻腔通気度検査による鼻閉の評価を行っている。さらに自覚的な眠気や睡眠の質の評価にはエプワース眠気尺度(ESS)、ピッツバーグ質問紙(PSQI)のデータを加え検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レム関連睡眠時無呼吸の各治療に対する反応性を検討する十分な症例数にまだ至っていない。また当初上部消化管内圧検査システム、下顎モーションセンサーを用いた上気道閉塞様式の検討を予定していたが予算の都合により困難となった。各治療に対する反応性の評価において、当院で保有している鼻カニューレにて呼吸波形を測定する携帯型睡眠検査機器ではCPAPのフローが干渉して正確な測定ができないため、その代用として脈波を利用し呼吸状態を測定する携帯型睡眠検査機器を購入した。今後は同機を用いてCPAPおよびOAの客観的効果判定を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
レム関連睡眠時無呼吸に対する各種治療の効果および上気道形態や閉塞様式の病態解明について引き続き検討を行う予定である。ただし、予算の都合にて咽頭食道多圧センサーを用いた評価は行えないため、セファロメトリー、鼻腔通気度検査を用いた解析を行う予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった上部消化管内圧検査システム(スターメディカル㈱)、下顎モーションセンサー(nomics社)より変更し、睡眠評価装置(ウォッチパット ユニファイド、フィリップス社)を購入したため。
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次年度使用額の使用計画 |
睡眠評価装置の消耗部品(フィンガーセンサーパット)購入に使用する予定である。
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