研究課題/領域番号 |
16K11252
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
冨藤 雅之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (80327626)
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研究分担者 |
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 准教授 (70317220)
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 耳鼻咽喉科学, 教授 (80215946)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 反回神経麻痺 / 過誤再生 / 自律神経 / 感覚神経 / TrkA阻害薬 |
研究実績の概要 |
反回神経障害では過誤再生により声帯運動が改善しない場合が多く、(1)運動神経と感覚・自律神経間、(2)声門開大筋と閉鎖筋を支配する運動神経間における過誤再生が想定される。反回神経を切断しPGAコラーゲンチューブ(以下チューブ)による神経再生実験では、神経再生促進効果と筋萎縮予防効果が認められたが、声帯運動の回復は認めなかった。そこで感覚神経再生阻害作用を持つTrkA阻害薬投与で(1)を抑制した場合の、声帯運動改善効果を検討した。 ラット反回神経切断モデルを用い、1㎜の間隔をあけた神経再生誘導チューブ架橋群(チューブ単独群)、TrkA阻害薬をチューブ投与して架橋した群(TrkAi群)を作製し、15週後に喉頭運動、反回神経の形態学的評価、喉頭筋の萎縮および電気生理学的評価を行った。過誤再生の評価として、神経トレーサーを喉頭筋(甲状披裂筋、後輪状披裂筋)へ治療後14週に投与し、翌週に迷走神経節および疑核における逆行性標識細胞を評価した。 喉頭運動は対側と比較して4段階のスコア化で評価した。スコア1以上を回復とすると神経再生チューブ単独群で1/15(6.7%)、TrkA阻害剤群で7/16(44%)に声帯運動回復を認めた(P=0.037)。形態学的には有髄神経線維再生本数および有髄神経線維径の有意な改善を認め、電気生理学的には活動電位の振幅の有意な改善を認めた。呼吸性同期筋電図においては、TrkAi群(2/7例)で、呼吸に一部同期する活動電位が確認できた。過誤再生の評価ではTrkAi群で迷走神経節における逆行性標識細胞の減少を認めた。疑核においては、TrkAi群ではチューブ単独群と比較して吻側へ分布が移動していた。疑核の中でも後輪状披裂筋を支配する吻側1500μm付近の標識細胞がTrkAi群では多く標識されており、声帯運動の改善は後輪状披裂筋ニューロンの回復によるものと考えられた。
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