研究課題/領域番号 |
16K11255
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
益田 宗幸 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 頭頸科部長 (90284504)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / epigenetics / マウス発癌 |
研究実績の概要 |
マウス発癌モデルおよびヒト舌癌臨床標本の解析から、YAP蛋白の活性化が頭頸部癌epigenetic発癌およびmalignant reprogrammingによる頭頸部癌進化に重要な役割をはたしていることを示唆する知見を得ている。マウスモデルの研究はAMED の創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業に認定され、Chip-sequence(東京大学 白鬚克彦教授担当)とメチローム解析(九州大学 伊藤 隆司教授)を進行している。臨床標本では正常、上皮内癌、浸潤がんと腫瘍のプログレッシオンに伴ってYAP蛋白の発現亢進が認められ、YAP蛋白高発現患者の予後は有意に不良で有ることが明らかになった。また頭頸部癌TCGA public dataの解析からYAP target遺伝子の発現と予後に相関があることも見いだした。ヒト舌癌凍結臨床標本(正常→癌→リンパ節転移)からのChip-seq、RNA-seq、methylation assay、 whole-exome-seq解析を開始し、口腔癌evolution過程における、epigenetic reprogrammingの役割を解析中である。さらに頭頸部癌において最も普遍的に見られるTP53遺伝子変異による発癌メカニズの本態は長きにわたって不明であったが、p53蛋白の不活化によるYAP 蛋白の活性化が本発癌経路の重要なファクターである可能性を見いだした。頭頸部癌培養細胞としては希少なTP53野生型の培養細胞を米国 Moore Cancer Center JS Gutkind教授から供与をうけ解析を進行中である。p53-YAP axisによるepigenetic reprogrammingが頭頸部発癌・進化に中心的な役割を果たすことを証明できれば頭頸部癌治療にあらたなパラダイムを導入することが可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要に記入したようにいくつかの観点から興味ある知見がえられ順調に推移していると考える
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今後の研究の推進方策 |
マウス発癌モデルに関しては論文を執筆中であり2018年度内のpublishを目指している。これまでの研究から得られた知見は、頭頸部癌発生およびevolutionの全過程においてYAP蛋白がepigenetic reprogramming factorとして重要な働きを持つことを示唆するものである。実績の欄に記入したように、このメカニズムを解析するために網羅的epigenetics解析をすすめている。またp53-YAP axisが頭頸部発癌進化における普遍的なメカニズムであることが明らかにしていきたい
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次年度使用額が生じた理由 |
頭頸部癌凍結臨床標本からDNA・RNAを抽出し網羅的なepigenetic解析を外注にて行う予定であったが準備が整わずその予算を繰り越すこととなった。
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