緑内障手術において術後の組織癒着を防止するため1990年初頭から現在まで、線維芽細胞抑制剤であるマイトマイシンCを創口および結膜下に暴露させることで創口の創傷治癒を抑制し癒着防止をはかることがゴールドスタンダードとなっている。しかし、マイトマイシンCの使用は健常細胞の正常な増殖も抑制するため、失明に至る重篤な合併症も報告されている。このため今日まで、新しい安全な緑内障手術方式の開発は緑内障治療における大きなテーマであるといえる。今回の癒着防止剤としての組織シーラントの研究開発は長らく足踏みをしている緑内障手術を飛躍的に前進させうるものである。
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