研究課題/領域番号 |
16K11261
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 顕 金沢大学, 医学系, 講師 (20303274)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | DSAEK / DMEK / Endothelial keratoplasty / confocal microscopy |
研究実績の概要 |
本年はDSAEK/DMEK/PDEKにおける新しい挿入器具の開発に成功し、アシコ社から世界において販売を開始した。その器具を使用した実際のDSAEK/DMEKの臨床結果を角膜カンファランス2018(広島)において既に発表した。本器具を使用することにより、DMEK手術時間が有意に短縮し、更に角膜内皮細胞に対する障害性が従来法よりも少なく、内皮細胞温存率が高いことが判明した。これらの新しい知見を、2019年の日本臨床眼科学会総会や米国の最大の臨床眼科学会(American Academy of Ophthalmology Meeting)においても10月に発表を行う予定である。また、これらの結果を角膜専門雑誌であるCORNEAに既に投稿を行い現在査読中である。 また、DMEKにおける上皮を温存する有用性に研究中に気がつき、それについてもOCTと共焦点顕微鏡を用いた新たな研究を開始した。具体的には、術中に角膜上皮を温存したほうが、術後の角膜厚が正常に近く、更に角膜神経が温存されるデータが蓄積されつつある。これらのデータは現在角膜専門雑誌であるCORNEAに既に投稿を行いreviseしている最中である。 また、confocal microscopyを用いた角膜内皮移植後のデータは順調にそろいつつあり、現在、ソフトウェアを用いてデータを解析中である。また、DSAEK/DMEK/DMAEK後の視機能(術後視力、角膜内皮細胞密度、コントラスト感度測定、高次収差)の解析にも着手した。また、動物眼(ウサギ)を用いた角膜内皮移植モデルの作成についても準備か完了し、内皮接着機構の解明に向けてこれから実験を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DSAEK/DMEK/PDEK患者は順調に増加し、confocal microscopyやOCTを使用したデータもそろいつつある。また、ドナー挿入器具の開発も完了し、現在眼科専門雑誌であるCORNEAに投稿中である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の計画としては、実際の臨床において、OCT手術顕微鏡を用いDSAEK/DMEK/DMAEK/PDEKにおける生体観察を計画している。対象はそれぞれ10人のDSAEK後患者、DMEK後患者、DMAEK後患者、PDEK後患者である。これらの患者において、OCT手術顕微鏡を用いて手術を行い、ドナーが接着されるまでの様子を全ての術式について生体観察し、デジタルビデオにて保存する。DSAEK/DMEK/DMAEK/PDEKドナーの前房内での動きを詳細に観察し、内皮細胞への影響、より接着しやすい術式は無いかどうか検討する。また、術終了時に残存する層間水分に対して、角膜マッサージの有効性を検討する。さらに、OCT手術顕微鏡にて観察される残存層間水分の量をフォトショップソフトウェアにて定量化を試みる。これらのデータは世界でも最新のデータである可能性があり、データが揃い次第、臨床系眼科海外雑誌(Ophthalmologyを予定)へ投稿する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に海外発表が多くなったため、次年度使用額が生じました。また、最終年度に論文作成費用がかかるため、次年度使用額が生じました。
|