研究課題/領域番号 |
16K11265
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 逸毅 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10313991)
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研究分担者 |
寺崎 浩子 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40207478)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光干渉断層計 / 光干渉断層計アンジオグラフィー / 網膜毛細血管 / 糖尿病網膜症 / 加齢黄斑変性 / 網膜電図 |
研究実績の概要 |
光干渉断層計(以下OCT)は網膜断層像を撮影する検査装置であるが、最近OCTを用いてangiographyを撮影できるOCT angiographyが登場し、網膜毛細血管網の詳細かつ定量的解析が可能になった。完全に非侵襲的に撮影でき、さらにその登場以降も性能向上が続いており、より詳細な解析が可能になってきている。本年度も正常眼の解析を行ったところ、加齢により脈絡膜毛細血管板の血管密度が低下していることがわかった。それに加えて、動脈硬化所見の悪化により低下することもわかった。糖尿病網膜症においてはその進行に従い網膜毛細血管密度が低下しており、さらに網膜電図のa波およびb波潜時の延長は網膜毛細血管密度の低下と有意な関係があることがわかった。またOCT angiographyにより、レーザー網膜光凝固術による脈絡膜毛細血管板の変化についても検出、解析が可能であった。OCT angiographyで網膜血管を同定し、同時に網膜層構造の変化を検出することで、内境界膜剥離術後の鼻側への網膜移動、および鼻側内層網膜肥厚、耳側内層網膜菲薄化の解析、さらに、Alport症候群での同様の変化の検出・解析も可能であった。加齢黄斑変性にたいする抗VEGF薬による治療による脈絡膜新生血管網の変化の解析も可能であった。未熟児網膜症において中心窩無血管領域が正常よりも小さいこともOCT angiographyによりわかった。以上、網膜微小循環は網膜機能と相関しており、OCT angiographyは、網膜の微細な変化を検出・解析し、網膜微小循環を解析することから網膜の病態生理を評価するのに有用であると考えられた。
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