日本眼科学会総会、RETevalを用いて記録したフリッカERGと、性別とがどの程度相関するか報告した。女性は男性と比較して、フリッカERGの振幅が有意に高いことがわかった。 また、日本臨床視覚電気生理学会でRETevalを眼科臨床で使用する際にどのようなことに気を付けたらよいか、またどのような疾患で用いるとよいか教育講演を行った。さらに一般講演においては、片目ずつ記録するRETeval独特の手法、つまりつねに右眼を先に記録し左眼を後で記録するという方法が、結果に影響しないか検討するために臨床研究を行い、日本臨床視覚電気生理学会で報告した。この研究により、弱い網膜照度でフリッカERGを記録すると、後で記録する左眼で、潜時が有意に短くなることがわかり、左右の眼を別々に記録する際には、比較的強い刺激強度で記録を行った方が、記録を行う順番による影響を受けにくいことが明らかになった。 2019年の日本眼科学会総会では、若年の正常被験者を対象にPhNRを記録し、PhNRと眼軸、瞳孔径、性別、網膜神経線維層厚がどの程度相関するかを解析し報告した。PhNRは網膜神経節細胞の構造変化と相関すると言われており、緑内障患者における視野変化と有意に相関すると報告されてきたが、眼底に疾患がない被験者においても、網膜神経線維層厚とPhNRが相関することが明らかになった。 RETevalは簡単に網膜機能を評価することができる画期的な装置であり、これをいかに臨床現場で使用し、解釈するか、多くの眼科医が関心をもつところである。そのため、RETevalを実際に使用する際のコツ、網膜変性疾患患者における使用例について解説した依頼原稿を執筆した。
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