研究課題
緑内障に対する治療は眼圧下降であり薬物療法で十分な眼圧下降効果が得られない場合に緑内障手術治療が行われるが、手術前に手術効果を予測することは困難である。緑内障手術のうち生理的な房水流出路からの房水流出を促進する流出路再建術は低侵襲で安全性が高い反面、眼圧下降効果が限定的であり、その効果は個人差が大きい。この術式では、特定の病型(偽落屑緑内障、ステロイド緑内障)において効果が大きいことが知られており、手術効果に何らかの遺伝要因が影響している可能性がある。緑内障には遺伝的要素が強く関係することが知られており、現在までに緑内障発症に関係する遺伝子がゲノムワイド関連解析の手法を用いて多数報告されている。しかしながら、今までに緑内障手術の効果に影響を与えうる遺伝性因子を検討した報告はない。本研究は、全ゲノム領域を対象に、一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism)をマーカーとして関連解析を行うことで、これら遺伝要因を解明することを目的とする。平成30年度は、前年度までの研究結果から予定した計画変更に則り、研究開始時までに蓄積していた227例に加え、平成30年度までに新規追加し得た150例も加え、既存の緑内障関連遺伝子群とその一塩基多型の遺伝型をTaqman法にて決定し、緑内障手術(線維柱帯切開術)の術後成績との関連解析を行った。また、偽落屑緑内障に強く関連する遺伝子(LOXL1)も合わせて検討した。しかし、有意水準P<0.05でも該当する候補遺伝子は指摘されず、術後成績の予測に対する一塩基多型をマーカーとした検討が困難であると結論付けられた。
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