研究課題/領域番号 |
16K11268
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中尾 久美子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30217658)
|
研究分担者 |
久保田 龍二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70336337)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | HTLV-1 / uveitis / adult T cell leukemia / HAM |
研究実績の概要 |
ぶどう膜炎を含む種々の眼疾患を発症しているHTLV-1キャリア、HAM、ATL症例において、眼内液のHTLV-1プロウイルス量やウイルス遺伝子の発現を検索し、眼内液のプロウイルスDNA検索がHAUの診断に有用であるかを検討することを目的として、鹿児島大学医学部歯学部附属病院眼科外来を受診した種々の眼疾患患者のうち、同意を得られた症例で末梢血液10mlと眼内液を採取した。H28年度内に収集できた試料はまだ少なく、ウイルスDNA検索は行わずに試料収集を継続した。 試料収集と平行して1985年から2014年に鹿児島大学病院眼科を受診し、HAUと診断された血清抗HTLV-1抗体陽性の原因不明ぶどう膜炎患者200例の臨床所見のデータベース化を行った。このデータベースをもとに、HAUにおけるATLやHAMなどの全身疾患の発症について検討した。HAU200例の内訳は男性65例、女性135例で、HAU発症年齢は平均49歳、HAU発症からの総観察人年は1606人年であった。2例がATLを発症し、1例はHAU発症時にATLくすぶり型と診断され、もう1例はHAU発症4年後にATLを発症した。26例がHAMを発症し、うち13例はHAMが先行し、11例はHAUが先行していた。HAMとHAUの発症間隔は半年~26年で、HAM先行とHAU先行で有意差はなかった。47例が甲状腺機能亢進症を発症しており、いずれも甲状腺機能亢進症が先行し、チアマゾール治療開始数週間~9年(中央値11ヶ月)後にHAUを発症していた。HAUを発症したHTLV-1キャリアにおいて、ATLの発症頻度は一般のキャリアと同じであったが、HAMの発症頻度は一般のキャリアに比べて非常に高い結果となった。また、甲状腺機能亢進症で治療中のキャリアはHAUを発症しやすいことも示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年度は対象となる症例が少なかったため、検体収集が予定より少なかった。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、ぶどう膜炎を含む種々の眼疾患を発症しているHTLV-1キャリア、HAM、ATL症例で、眼内液や血液の採取に努める。試料の収集が思うように進まない場合は、これまでに鹿児島大学眼科に保存されている試料を利用する。
|