研究実績の概要 |
共同研究者との密な議論を経て、これまでに見出した涙液層の破壊パターン(area break, line break, spot break, dimple break, random break)が涙液減少型ドライアイ(area break:重症例, line break:中等症まで)、水濡れ性低下型ドライアイ(spot break, dimple break)、蒸発亢進型ドライアイ(random break)の破壊パターンに相当することが分かったが、これに加えて、line break が急速拡大する涙液層の破壊パターンが水濡れ性低下型ドライアイに相当する可能性、および、dimple breakを伴い、角膜において部分的なarea breakを示す涙液層の破壊パターン(partial area break)が存在することが明らかになり、これらを含めると、ドライアイのサブタイプ分類が涙液層の破壊パターンで全て可能になることが明らかになってきた。また、ドライアイのサブタイプでは、涙液減少型ドライアイのみ瞬目時の摩擦亢進が病態として大きく関与することが明らかになった。共同研究者との基礎研究では、重層化した培養角膜上皮細胞に好中球エラスターゼを作用させて、膜型ムチン(MUC16)をsheddingさせ、上皮細胞表面の接触角を気泡法で評価すると、上皮表面の水濡れ性が低下することから、MUC16が上皮の水濡れ性を維持していること、および、ジクアホソルナトリウムがそれを改善することが明らかにされた。
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