研究課題
本研究は茨城県筑西市において2013年から行われている住民対象の疫学研究であり、主に生活習慣や食習慣と眼科疾患、特に加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、緑内障等の疾患との関与を研究している。2013年から2017年の検診において9819名に対し眼科検診を行い、2045名に何らかの異常所見を認めた。さらにそれらの住民に対し2次検診としての眼科受診を依頼し、その結果、685名の緑内障患者、507名の白内障患者、45名の加齢黄斑変性患者ならびに31名の糖尿病網膜症患者を確定診断した。2019年度は筑西市下館地区においてのコホート研究である5年後調査であり、2565名を対象に光干渉断層計(Optical Coherence Tomography, OCT)ならびにIOLマスターと呼ばれる眼軸長ならびに前房深度測定器を用いて網膜形状異常や網膜の菲薄化、浅前房患者のスクリーニングを行った。研究の成果としてはHanyudaらは筑西市住民における糖尿病患者と非糖尿病患者の眼圧を比較検討し、その結果をSci Rep 2020;10:5355に報告した。具体的には参加者6786名の内734名が糖尿病と診断され交絡因子を調整した結果、糖尿病患者の眼圧は14.4 ± 0.1 mmHgであり、非糖尿病患者の眼圧13.9 ± 0.1 mmHgと比較し有意に高値であった(p<0.001)。また糖尿病患者においては有意に高眼圧症患者の割合が多かった(OR=1.75; 95% confidence interval, 1.09-2.81; p<0.05)。以上より糖尿病は眼圧高値や高眼圧症のリスク要因であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本研究は住民対象疫学研究であり過去4年間特に問題なく眼科検診を行なっている。また昨年は研究実績に報告したように研究結果も出ており概ね順調に進展していると考えている。
2020年度も2019年度と同じく筑西市下館地区で眼科検診を予定している。また解析として眼圧と生活習慣や食習慣の関与を解析予定である。
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Sci Rep
巻: 10 ページ: -
10.1038/s41598-020-62135-3.
10.1038/s41598-019-57260-7.
J Cli Med
巻: 8 ページ: -
10.3390/jcm8111788.