研究課題/領域番号 |
16K11274
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
丸子 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 特任講師 (10443871)
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研究分担者 |
古泉 英貴 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20551500)
飯田 知弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (50241881)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脈絡膜血流 / 網膜色素上皮 / 強膜 |
研究実績の概要 |
①OCT angiography(OCTA)による脈絡膜血流評価に影響を与える因子の検討 OCTAを用いれば脈絡毛細血管板の情報は表示されているものの、現在の市販機では更に深部の脈絡膜の中大血管の血流は通常描出されていない。セグメンテーションラインをマニュアルで脈絡膜深部に移動させても中大血管は描出されない。そこで我々は陳旧性網膜剥離、網膜光凝固術後、萎縮型加齢黄斑変性、スタルガルト病のように、網膜色素上皮(RPE)萎縮をもつ疾患におけるOCTAを撮影した所、RPEが正常な部位と比較して、脈絡膜中大血管が鮮明に描出されることを報告した(Maruko I, et al. Retin Brief Case Rep 2016)。これはRPEより深部にはOCT光源が届きにくいためと考えられている。 一方で、それ以外の症例で脈絡膜中大血管が描出されることが無いかというと、強度近視眼の一部で描出されていることがある。強度近視眼では脈絡膜は極度に菲薄化しているが、脈絡膜自体にセグメンテーションラインを合わせても脈絡膜血流は描出されない。しかし、そのセグメンテーションラインをさらに深部の強膜に合わせると、脈絡膜中大血管が鮮明に描出される事がある。これは脈絡膜血流のシグナルが強膜上に陰影として映し出されたため生じる現象である。ただし、この現象は全症例でみられるわけではなく今回の検討では強度近視眼54例92眼のうち41眼(44.6%)で脈絡膜血管が描出された(Maruko et al. Retina 2016)。 これらの結果から、OCTAによる脈絡膜血流の描出にはRPEと強膜が関連していることが明らかになった。 ②脈絡膜血流の検査における信頼性の検討 LSFGとOCTAの関連については陳旧性網膜静脈または動脈分枝閉塞症患者の白線化血管の評価を行い、両装置の相違について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OCTAによる脈絡膜観察については計画以上に進展しているが、LSFGとOCTAの比較に関して、解像度の問題から同じ血管を同じ条件で比較するのが難しく、再現性を出すために疾患眼での評価を先に行うこととしたため当初の計画である信頼性の評価にまで到達していない。
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今後の研究の推進方策 |
OCTAによる脈絡膜観察については、次にスペクトラルドメインOCTとスウェプトソースOCTを使った描出の違いについて取り組む予定である。その両装置の相違について評価した上で、負荷試験をおこなうことにつなげていく。 LSFGとOCTAによる脈絡膜血流評価の信頼性の検討については、引き続き疾患眼による局所的な血流評価からその相違を検討し、次に正常眼での比較を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度はデータ収集が主であったが、preliminaryなデータチェックの為に測定装置上の付属ソフトウェアでのデータ解析を行っていたため画像解析用のパソコンおよび画像解析ソフトの購入が必要なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に取得したデータを解析するために画像処理用コンピュータおよび画像解析ソフトウェアを購入する。さらにバックアップ用ハードディスクや無停電電源装置をデータ保存のために用意する。さらに次年度には本研究室成果を発表する学会での成果発表のために旅費や論文の投稿料などにも使う予定である。
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