1.白色家兎における、新規眼底循環測定系であるレーザースペックルフローグラフィ(LSFG)を用いた眼循環、全身循環同時測定系の確立に成功した。具体的には眼評価としてLSFGを用いた眼血流測定、眼圧の一定化、全身評価として心電図、直接法での上腕、下腿動脈圧測定、頸動脈・大腿動脈血流量の測定(レーザー・ドップラ法)、脈波伝播速度(pulse wave velocity)、Cardio ankle vascular indexの同時測定法を再現性良好に(眼血流評価項目の変動係数6%未満)確立した。現在、循環の基礎となる交感神経刺激(α、β受容体)に対する全身―眼循環応答の研究を遂行している。今後、学会発表や論文化を目指している。今後の展望として、種々の交感神経興奮に起因する循環器病の眼―全身循環の変動をリアルタイムに測定可能となりその病態把握の一助となると考える。 2.人間ドックへのLSFGG導入により、全身ー眼循環血流動態には血圧測定値と乖離した性差があること、加齢により年代別に変化が生じていることを多数例で確認することができた。同じ血管病である冠動脈疾患と網膜血管病にはその罹病率に明らかな性差があり、大血管病では男性、網膜血管病では性差を認めとめないことが報告されている。今回の研究により大血管病・網膜血管病の精査による罹病の差の解明の一助となったと考える。今後研究を進めていくことで、様々な全身循環病のブラックボックスが解明されていくことが期待できる。
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