研究実績の概要 |
眼圧が十分に低下しているにもかかわらず、進行する緑内障患者が数多くいる。網膜神経細胞死には、以前よりBrain derived neuronal factor (BDNF)などの神経保護因子が注目されており動物実験では有用性が報告されている。しかしながら、緑内障患者の眼球内におけるBDNFの分布や量などは不明である。本研究では緑内障において眼球内のBDNFが低下しているのかどうか、また量の変化があるならばその変化が血液中の濃度変化と相関するかどうかを明らかにしようというものである。またこの結果から将来的にBDNFを用いた遺伝子治療の応用することが出来るのかどうかについて検討しようというものである。 本研究の具体的な目的としては、①ヒトにおける前房内、血中におけるBDNF量について解析を行い、②BDNF量と緑内障における各パラメーターの比較検討を行うものである。 日本医科大学付属病院薬物治験審査委員会の承認を得て(227026, UMIN 000021304)2016年3月より、緑内障患者及び非緑内障患者の血中および眼内のBDNFの検討を行った。血中におけるELISA法での比較では、緑内障患者の方が非緑内障患者よりBDNFの低下傾向を認めた。 しかしながら、眼内のBDNFの定量に関しては、ELISA法では検出限界であった。今後新たな検出方法を利用して、眼内のBDNFを検討していく予定である。
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