研究課題/領域番号 |
16K11277
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
初坂 奈津子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50505352)
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研究分担者 |
佐々木 洋 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60260840)
西野 善一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70302099)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 疫学研究 / 紫外線被ばく / 瞼裂斑 / 老視 / 調節力 / 水晶体硬化 |
研究実績の概要 |
今年度は7月31日と8月1日に石川県能登地域において紫外線被ばくが多いと予想される漁師および漁業組合関係者約100名の眼科検診を行った。眼部紫外線被ばくの評価には、前年度製作した紫外線蛍光撮影(ultraviolet fluorescence photography; UVFP)を用いて眼結膜に発症する瞼裂斑を測定した。アンケートにより漁師歴や1日の屋外作業時間および時間帯、休日の屋外での過ごし方、小学生から高校生までの平均的な戸外活動時間等を聴取した。さらに眼鏡や帽子の使用頻度も考慮した推定式により、個人の眼部紫外線被ばく量の算出を行った。眼科検診では視力、眼屈折、調節力、眼軸長検査、散瞳下での水晶体の精密検査、細隙灯顕微鏡による同一医師の診断を行った。他覚的調節力の測定はAA2(ニデック)と両眼開放レフWAM-5500(Grand Seiko)を用いた。開放レフでは1mから20cmまで視標を動かし、それに伴う屈折値の変化量を調節力とした。水晶体の散乱光強度および形状はEAS-1000(ニデック)を用いて測定し、その解析値により水晶体透明特性Lens Transparency Property (LTP)を算出した。加齢に伴い調節力は有意に低下(p<0.001)し、水晶体各層の散乱光強度も有意に増加した(p<0.01)。調節力はLTPと水晶体各層(前嚢、前成人核、中心間層、前胎生核)の散乱光増加に伴いAA2、WAM-5500ともに低下した。調節力低下と最も高い相関があったのは核部である中心間層および前胎生核であり、水晶体後方散乱光強度は水晶体硬度と相関し、調節力を間接的に評価する指標として有用である可能性が示唆された。 H30年度8月には紫外線低被ばく群(オフィスワーカー)として石川県問屋町での調査を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外線被ばくが多いとされる漁師の調査を行い、眼部紫外線被ばくと調節力の関係について詳細な検討を行った。今回調査した漁師の調節力は一般に報告されている調節力に比べて若干低い傾向があった。これが紫外線被ばくによるものなのかはオフィスワーカー等の紫外線低被ばく群の調査が必要であり、H30年度8月に約200名の眼科検診を予定している。 さらに漁師の結果を再度検討し、詳細な個人の眼部紫外線総被ばく量を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
夏に実施するオフィスワーカーの調査に向けて、日程や時間、場所等の調整を行っている。今年度行った漁師の調査を同一の検査内容にするため、調査に必要な機器(屈折計測と瞳孔径(両眼開放レフ、Grand Seiko)、調節力計測(WAM-5500、Grand Seiko)およびAA2(ニデック)、眼軸長(IOLマスター、ツァイス)、水晶体撮影(EAS-1000、ニデック)の準備や調整を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
オフィスワーカーの調査が次年度になったため、調査のための測定機器や眼科検診に対する費用で次年度使用額が生じた。次年度はこれからの調査及び検査技師等の謝金に使用する。
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