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2018 年度 実施状況報告書

網膜剥離に対するαBクリスタリンの視細胞保護効果

研究課題

研究課題/領域番号 16K11280
研究機関千葉大学

研究代表者

馬場 隆之  千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (00361725)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード網膜剥離 / 視細胞保護 / アポトーシス
研究実績の概要

平成30年度は、網膜剥離モデルでの網膜障害の機序について、ひきつづき検討を行った。平成28年度に確立されたBrown-Norwayラットによる実験的網膜剥離から、後眼部の組織ブロックを作成し、凍結切片を用いて実験を行った。免疫組織学的手法を用いて、Caspaseを介したapoptosis経路、AIFシグナル経路、RIPを介したnecrosisの関与を検討した。また網膜循環と剥離網膜の細胞死との関係をみるために、CD31およびvWFといった血管内細胞のマーカーを用いて免疫染色を行った。
平成31年度はクリスタリンαBによる視細胞保護作用を網膜剥離モデルを用いて研究する。Brown-Norwayラットにて実験的網膜剥離をヒアルロン酸ナトリウムを用いて作成する。直接的に網膜下で作用できるように、ヒアルロン酸ナトリウムに濃度勾配をつけてクリスタリンαBを添加したもので実験的網膜剥離を作成する。3日目の網膜組織を用いて、TUNEL染色を行い、クリスタリンαBの網膜保護効果を確認する。もし細胞死抑制効果が見られれば、次は硝子体内投与を行う。ヒアルロン酸ナトリウム単独で実験的網膜剥離を作成したのち、眼底を観察しながら硝子体中にクリスタリンαBを投与する。可能であれば、基材に染色を行い、薬剤が確実に硝子体中に投与されたことを確認する。3日目の網膜を用いてTUNEL染色を行い、視細胞の保護効果がみられるか検討する。
もしTUNEL染色で細胞死が抑制されることが確認できれば、AIFやRIPのマーカーを用いて評価し、他の細胞障害経路でのクリスタリンαBの視細胞保護効果を検索する。さらに網膜血管と視細胞障害の関係も検討し、網膜虚血が実験的網膜剥離での網膜障害に関係するか検索する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

3年目にあたる平成30年度は、年度中に実験設備の故障がありやや組織学的研究の進行に支障があった。

今後の研究の推進方策

平成31年度は、リコンビナントのクリスタリンαBを用いて、視細胞保護作用がみられるかの検討を行う。網膜下へのヒアルロン酸注入時にクリスタリンαBをヒアルロン酸に加えることにより、視細胞のアポトーシスを抑制するかをTUNEL染色を用いて検討する。クリスタリンαBは濃度勾配をつけて投与し、濃度依存性に視細胞保護効果がみられるか検討する。この方法で視細胞保護が得られるのであれば、次は硝子体内へクリスタリンαBを投与し、視細胞のアポトーシスが減少するかを確認する。硝子体から網膜下へはバリアがありどの程度網膜の外層に存在する視細胞へ作用するかは不明であるが、実際の症例で治療を行うとなると、最も現在一般的に使用されている経路が硝子体内投与であることから、本検討は行う必要がある。また理想的には最も簡便な投与経路である点眼でも、実験的網膜剥離に対する視細胞保護が得られれば良いが、組織移行性の問題もあり、クリアする壁は高いかもしれない。
TUNEL染色でアポトーシスの抑制が見られれば、網膜血管障害との関係を検討する。剥離網膜で網膜血管障害が見られれば、その領域の視細胞障害が血管障害がない部分と比較を行う。ここに差が見られれば、網膜循環保護といった、違う側面からのアプローチの可能性が出てくると思われる。

次年度使用額が生じた理由

実験室設備の故障により、組織学的検討が行えない時期があったため、本年度中に終わるべき実験が順延した。2019年度は主としてリコンビナント・クリスタリンαBの購入に次年度使用額の助成金を使用する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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