令和1年度は、網膜剥離モデルでの網膜障害の機序について、ひきつづき検討を行った。平成28年度に確立されたBrown-Norwayラットによる実験的網膜剥離を用いてクリスタリンαBによる視細胞保護作用を研究した。Brown-Norwayラットに実験的網膜剥離をヒアルロン酸ナトリウムを用いて作成したのち網膜下へ濃度勾配をつけたクリスタリンαBを投与した。3日目の網膜組織を用いて、TUNEL染色を行い、クリスタリンαBの網膜保護効果を確認した。 クリスタリンαBを20マイクログラム、2マイクログラム、0.2マイクログラム、それぞれ網膜下に投与した群では、視細胞のTUNEL陽性率は0.15%、0.67%、0.88%であり、特に20マイクログラム投与した群ではコントロールの0.74%よりも低く抑えられていた。実験的網膜剥離では、クリスタリンαBの網膜下投与により視細胞死の抑制が得られる可能性が示唆された。
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