研究課題/領域番号 |
16K11285
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 華子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20372162)
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研究分担者 |
村岡 勇貴 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (00739089)
畑 匡侑 京都大学, 医学研究科, 助教 (70748269)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / ドルーゼン / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
加齢黄斑変性モデルにおけるVCP ATPase阻害剤の効用判定、VCP ATPase阻害剤によるドルーゼン形成抑制・消失機序解明に関して、下記を明らかにした。
1)ドルーゼン形成高齢Ccr2マウスを用いたVCP ATPase阻害剤投与実験:Ccr2欠損マウスでは、7-8カ月齢以降眼底に、白色のドルーゼン様沈着物が出現する。まずは、ドルーゼンが沈着しているマウスに9カ月齢からVCP ATPase阻害剤(50mg/kg/day)、および対照として生理食塩水を経口投与し、そのドルーゼン数の経過を、多数例で検討した。投与半年後、投与群では対照群と比較して有意にドルーゼン数が少ないことが明らかになった。また、網膜電図検査において、投与群では有意に振幅が大きく、視機能が保たれていることが明らかになった。 2)加齢黄斑変性患者からのiPS細胞樹立:加齢黄斑変性患者6名から同意を得たのち、皮膚組織を採取、初期化遺伝子であるOCT3/4, SOX2, KLF4,MYC遺伝子導入によりiPS細胞株を樹立した。また、眼底が正常な健常コントロール人からもiPS細胞を樹立した。 3)患者由来iPS細胞からRPE分化誘導:各樹立iPS細胞を、我々が確立した浮遊培養法で(SFEB-DL法:Nature Biotech 2008)分化誘導し、網膜色素上皮細胞を作成した。これを顕微鏡下で採取し、さらに培養をつづけることで、単層シート状の網膜色素上皮細胞を得た。いずれの細胞株においても、網膜色素上皮細胞への分化は良好であり、光学顕微鏡レベルにおける形態の差異は疾患・正常間で認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、計画通りに進行し、結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は予定通り、他のドルーゼンモデル動物を用いた検証、および、患者由来iPS細胞を用いたドルーゼン形成抑制のメカニズム解明を続行していく。研究体制などにも大きな変化はないため、問題なく実施可能と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験に関して、予備実験を周到に行ったため、予定の匹数を減らして実施することが可能であったため、物品費並びに人件費が少な目の執行となった。
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次年度使用額の使用計画 |
iPS細胞に関して、正常コントロールラインを維持するために、培地・人件費が当初予定よりも必要となるため、昨年度の未使用額をその額として使用する予定である。
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