• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

緑内障における網膜神経節細胞保護・軸索伸長を目指す薬剤スクリーニング基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K11290
研究機関熊本大学

研究代表者

岩尾 圭一郎  熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30549118)

研究分担者 高橋 枝里  熊本大学, その他の研究科, 助教 (60622602)
後藤 信祐  熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40764113)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2017-03-31
キーワード神経保護 / 神経軸索再生 / 緑内障 / 網膜神経節細胞
研究実績の概要

緑内障で特異的に障害される網膜神経節細胞(Retinal ganglion cell, RGC)を、実験哺乳動物から大量に取得する技術を応用し、①網膜神経節細胞に対する直接的な神経保護作用や②神経突起伸長・再生作用を促す薬剤のスクリーニング研究を行った。
RGCはSprague‐Dawleyラットより単離培養し、イメージング・サイトメーターとしてGEヘルスケア社IN-Cell-Analyzer 6000を使用した高速かつ自動の共焦点画像取得を行い、GE社あるいはMetaMorph社の自動定量解析ソフトウェアを用いて自動解析し、低バイアス高速スクリーニングを施行した。
その結果、①ヒストンH3脱メチル化酵素阻害薬であるトラニルシプロミンが、グルタミン負荷神経細胞障害時に有意に細胞生存率を向上させることを発見した。同薬はエピジェネティックな働きを持ち、RGC障害時にp38 MAPKγの発現変化を介することで神経保護作用を示していることを確認するとともに、緑内障動物モデルにおいても神経保護作用を呈し得ることを見出した。その成果はIOVS誌に掲載されるとともに、国内特許(特願2016-011705)およびPCT出願(14025PC09)をした。
また、②RGC神経突起伸長に影響を与えうる新規の薬剤としてアデノシンレセプター(AdoR)A3作動薬である2-Cl-IB MECAを見出した。AdoRでは、A1、A2a、A2b、A3レセプターのいずれのサブタイプも神経節細胞層に発現しているものの、応答性はサブタイプにより異なり、A3レセプター刺激のみ軸索伸長・再生能を亢進させていた。また、視神経挫滅動物モデルにおいても、2-Cl-IB MECA投与で軸索再生が促されることを確認した。
これらの結果は、緑内障治療に神経保護や神経再生という新しい治療ストラテジーの創造をもたらしうる研究成果である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Potential Neuroprotective Effects of an LSD1 Inhibitor in Retinal Ganglion Cells via p38 MAPK Activity.2016

    • 著者名/発表者名
      Tsutsumi T, Iwao K, Hayashi H, Kirihara T, Kawaji T, Inoue T, Hino S, Nakao M, Tanihara H.
    • 雑誌名

      Investigative Ophthalmology & Visual Science

      巻: 57 ページ: 6461-6473

    • DOI

      10.1167/iovs.16-19494.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Comparing Trabeculectomy Outcomes between First and Second Operated Eyes: A Multicenter Study.2016

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki K, Takamura Y, Nishida T, Sawada A, Iwao K, Shinmura A, Kunimatsu-Sanuki S, Yamamoto T, Tanihara H, Sugiyama K, Nakazawa T, Inatani M.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11 ページ: e0162569

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0162569.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] 熊本大学大学院生命科学研究部眼科学分野 (研究業績)

    • URL

      http://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/ganka/kyousitu/gyouseki.html

  • [産業財産権] 網膜神経変性疾患に対するトラニルシプロミン神経保護治療薬2017

    • 発明者名
      谷原秀信、岩尾圭一郎、中尾光喜、林秀樹、日野信次朗、堤孝之
    • 権利者名
      谷原秀信、岩尾圭一郎、中尾光喜、林秀樹、日野信次朗、堤孝之
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2017/002244
    • 出願年月日
      2017-01-24
    • 外国

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi