研究課題/領域番号 |
16K11292
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
大黒 浩 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30203748)
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研究分担者 |
阿部 晃 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70136927)
平岡 美紀 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80246983)
日景 史人 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30837547)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 癌関連網膜症 / リカバリン / 自己免疫 / 網膜変性 |
研究実績の概要 |
癌患者の一部に腫瘍組織と神経組織に共通抗原が生じるためこれらに自己免疫を獲得し、種々の神経障害を呈するparaneoplastic syndrome(PNS)が知られている。このうち癌関連網膜症(CAR)では、同様の機序で網膜に対する自己免疫を獲得し、網膜色素変性様の進行性の網膜変性をきたす疾患であり、未だ有効な治療のない難病である。CAR患者血清中には網膜視細胞に特異に発現し、明暗順応を制御するCa2+結合蛋白質リカバリン(Rec)等の網膜抗原に対する自己抗体が報告されている。 以前我々は、細胞中でRecがG蛋白共役受容体キナーゼ(GRK)およびカベオリン-1(Cav-1)と共役していることを見出した。中でもCav-1は癌細胞の増殖、転移および薬物抵抗性の制御にかかわる重要な因子である。興味深いことに視細胞中でRecと共役するロドプシンキナーゼはGRKファミリーに属する(GRK-1)ことからRecが視細胞では明暗順応に働き、一方でRecが癌細胞中で他のGRKおよびCav-1と共役することで癌細胞自体の増殖、転移および薬物抵抗性に影響を与えることが示唆された。これらの事実は、一方でRecがもともと存在する視細胞の中で単にロドプシンキナーゼを介した明暗順応の制御以外にCav-1を介した別の機序にも係わる可能性を示唆するものである。従って癌関連網膜症(CAR)では腫瘍に異所性発現した視細胞特異蛋白リカバリン(Rec)に対する自己抗体が産生され、血液循環で網膜まで運ばれ最終的に視細胞に取り込まれることで発症すると考えられている。我々は先にこれらの機序にG蛋白共役受容体キナーゼ(GRK)およびカベオリン-1(Cav-1)の関与が強く考えられる。しかし細胞内でRec、GRKおよびCav-1がどのような分子機構でCARを発症させるかは不明である。そこで本研究課題では以下の2点に的を絞り検討を行った。 (1)腫瘍細胞におけるRec、GRKおよびCav-1の相互作用 (2)網膜視細胞におけるRec、GRKおよびCav-1の相互作用
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