研究課題
角膜移植以外に治療法がない難治性角膜疾患であるFuchs角膜内皮ジストロフィ(FECD)の病態を解明し、発症予防と新規治療法の開発のための基礎的知見を得ることを目的とする。本年度は、FECDの病態として、FECD患者の角膜内皮では過剰に産生された細胞外マトリックスがunfolded proteinとして蓄積していること、さら小胞体ストレスによりCHOPを介してミトコンドリア経路が活性化され、それによって角膜内皮細胞のアポトーシスが誘導されること、またTGF-β経路の活性化を抑制することによりFECDにおける角膜内皮細胞のアポトーシスが抑制されることを論文として報告した。これらの知見は、現在はドナー角膜組織を用いた角膜移植しか治療法のない疾患であるFECDに対して、点眼薬による治療の可能性を示す社会的意義の高いものであり、プレスリリースを行って研究成果を社会に発信した。さらにFECDの病態におけるMitochondria-associated ER membranes (MAM)の関与について詳細な検討を行い、角膜内皮細胞において小胞体ストレスによりMAMが誘導されることを報告した。これらの研究により、FECDの病態解明および治療法の開発のために役立つ有意義な知見が得られ、3件の特許出願を行った。本研究はドイツエルランゲン大学のFriedrich Kruse教授らとの国際共同研究である。
1: 当初の計画以上に進展している
FECDの疾患モデル細胞を樹立し、TGF-βシグナルに着目した治療候補薬のスクリーニング系を確立するなど、当初予定よりも進展している。
FECDの病態におけるMitochondria-associated ER membranes (MAM)の関与を解明する他、TGF-β刺激による細胞死誘導モデルを用いて、治療候補薬のスクリーニングを行う予定である。
公開セミナー: 小泉範子: イノベーションジャパン2017, 横浜, 2017.9.1, 小泉範子: 再生医療イノベーションフォーラム(FIRM) 第4回ベンチャー創設支援セミナー, 神戸, 2017.09.12.小泉範子: 第35回東京新島講座, 東京, 2017.11.11. 新聞: 京都新聞, 2017.7.27. 京都新聞,朝日新聞など,2017.7.29.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (3件)
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