フックス角膜内皮ジストロフィ(FECD)は進行性に角膜内皮細胞が障害され重症の視力障害を生じる難治性疾患である。唯一の治療法は角膜移植であり薬物治療の開発が望まれる。本研究ではFECDの病態における小胞体ストレスの関与を解明し、新規治療法の開発のための基礎的知見を得た。FECD患者の角膜組織には変性たんぱく質が過剰に蓄積されており、これらの変性たんぱく質が小胞体ストレス応答を介して角膜内皮細胞の細胞死を誘導することを明らかにした。さらにTGF-βシグナル阻害などによる小胞体ストレスの制御がFECDの新規治療法となる可能性を示すとともに、cell-basedの薬物スクリーニング系を確立した。
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