研究課題
In vivoでは、マウスiPS細胞から誘導したマクロファージ様免疫抑制細胞(iPS-SCs)のマウス実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)に対する最適な投与時期について検証した。これまでは免疫の1日前にiPS-SCsを1回投与(1×106個/匹)していたが、臨床学的重症度ではiPS-SCsの投与群では対照群に比べてEAUを有意に抑制していたが、組織学的重症度では有意差は認められなかった。1回投与では日数が経つと効果がなくなってしまう可能性を考え、投与時期を免疫の1日前と6日後の2回投与(5×105個/匹)に変更した。結果は、臨床学的重症度では免疫後11日目で有意差が認められ、摘出した眼球のHE染色による組織学的重症度でもiPS-SCs投与群では対照群に比べて有意に軽症化していた。In vitroでは、免疫後9日目のマウスのリンパ節からペプチド抗原特異的なCD4+T細胞を抽出し、そこに抗原とナイーブマウス脾臓由来の抗原提示細胞とiPS-SCsを加えて共培養し、4日後にフローサトメーターでCD4+T細胞の増殖反応について検討した。iPS-SCsを加えた群では、対照群に比べて有意に抗原特異的なCD4+T細胞の増殖は抑制された。さらに、培養上清中の炎症性サイトカインについても検討した。ぶどう膜炎の病態に関与しているといわれているTh1サイトカインであるTNF-αやIFN-γはiPS-SCs投与群では対照群に比べて有意に減少していた。一方で、iPS-SCs投与群ではTh2サイトカインではIL-13が、Th17サイトカインではIL-17AとIL-17Fが有意に上昇し、それ以外にはTGF-β1と亜硝酸(NO2-)が有意に上昇していた。また、iPS-SCsは、他の細胞との接着がなくてもCD4+T細胞の増殖を抑制したことから、NO2-などの何らかの液性因子が関与していることが示唆された。
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Ocular Immunology and Inflammation
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