研究課題/領域番号 |
16K11317
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
戸所 大輔 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (40436324)
|
研究分担者 |
槇村 浩一 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00266347)
鈴木 崇 東邦大学, 医学部, 客員講師 (70398048)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 眼微生物学・感染症学 / Fusarium solani / 隠ぺい種 |
研究実績の概要 |
感染性角膜炎は、細菌や真菌などの病原体が角膜に感染し炎症を引き起こす病態である。細菌によるものに比べ、真菌とくに糸状菌による角膜炎は診断・治療ともに難しく、重症化しやすい。糸状菌による角膜炎の原因菌としては、フザリウム属が最多であり、農業従事者に好発する。ピマリシンなどポリエン系抗真菌薬はフザリウム属に対してin vitroでは有効だが、角膜毒性が強く組織移行性が高くないため、深層に及んだ病変に対しては効果に限界がある。ボリコナゾールなどアゾール系抗真菌薬は角膜毒性も低く、組織移行性も良好だが、フザリウム属の一種であるFusarium solaniに対しては株によって有効性が大きく異なることが分かった。この原因として、Fusarium solaniは種複合体であり、性質の異なる複数の菌種を含んでいることが考えられる。近年の系統解析により、Fusarium solani種複合体はさらに5つの種に細分されることが分かっている。またFusarium属は環境真菌であり、植物病原菌としても知られる。角膜炎由来株がこれらの環境株と異なる特徴を有しているか否かについても検討する必要がある。 1.角膜炎由来フザリウム株および環境由来フザリウム株のライブラリーを作製した。このライブラリーを用いて、表現型、薬剤感受性、系統解析などを行うことができる。 2.薬剤感受性測定用プレートをオーダーメイドで作製した。これを用いて、市販の感受性測定用プレートでは検査が行えない薬剤の感受性検査が可能となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤感受性測定用プレートのオーダーメイドに必要な薬剤の入手に時間を要したことと、薬剤の溶解方法と希釈濃度の設定に繰り返し検討を要した。一部の薬剤で高濃度の溶解が困難であり、手作業での溶解と分注を要することになった。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に準備した菌株を用い、各種の実験を遂行していく。 1.作成したフザリウム株のライブラリーを用いて、薬剤感受性測定を行う。 2.アゾールの感受性株と非感受性株の差異を調べ、アゾール感受性の迅速診断のマーカーとなりうる特徴を検討する。 3.角膜炎由来株と環境株の系統解析を行い、薬剤感受性との関連性を見出す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
抗真菌薬の薬剤感受性測定に必要な薬剤の入手に遅れが生じ、薬剤感受性測定プレートのオーダーメイド作製に時間を要したことから、その後の実験に必要な消耗品の購入が次年度に持ち越されたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
作製したフザリウム株ライブラリーを用いて表現型、薬剤感受性、系統解析など実験を進め、アゾール感受性との関連性を検討する。
|