研究実績の概要 |
視神経挫滅モデルを用いて、神経保護合剤点眼による神経保護・視神経軸索保護効果の検討を行うことを目的として研究を進めてきた。本年度はその2年目にあたる。 生後7-10週のSDラット視神経挫滅モデルを作成し、培養実験で効果のあった3種類の神経保護剤(citicoline, TUDCA, NT-4)を1日2回点眼した。1グループを6匹とした。2週間後にラットを屠殺後whole mount retina標本を作成、残余網膜神経節細胞をカウントし、各々の薬剤の点眼による神経保護効果を検討した。また、citicoline+TUDCAの合剤、citicoline+TUDCA+NT-4の合剤についても同様に検討した。使用濃度は培養で用いた濃度のstock solutionの濃度とした。その結果、3種類の神経保護剤は単独で有意な神経保護作用を発揮した。また、2種混合、3種混合剤の点眼では統計的有意な相加効果は得られなかったが、3種混合剤が最も神経保護作用が強かった。しかしながら2種混合剤では眼表面や網脈絡膜に新生血管が発生した。その副作用のメカニズムは不明であるが、増殖膜ではVEGF発現が有意に増加していることを免疫染色で確認した。NT-4を含む3種混合剤では新生血管の発生はまったく見られなかった。単剤の点眼でも有意な神経保護作用が認められたため、硝子体内投与の保護効果は確認する必要がなくなった。今後は点眼による視神経レベルの軸索保護効果に焦点をあてる予定である。本研究内容は2018年4月の日本眼科学会及び国際学会ARVO2018で発表予定である。
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