研究実績の概要 |
視神経挫滅モデルを用いて、神経保護合剤点眼による神経保護・視神経軸索保護効果の検討を行うことを目的として研究を進めてきた。本年度が最終年度である。 生後7-10週のSDラット視神経挫滅モデルを作成し、3種類の神経保護剤(citicoline, TUDCA, NT-4)を1日2回点眼した。さらに合剤点眼群citicoline+TUDCA(doublet-1), TUDCA+NT-4(dublet-2), citicoline+TUDCA+NT-4(triplet)を作成し、残余網膜神経節細胞数をBrn3a免疫染色で、視神経軸索再生線維数の検討をneurofilament染色及びGAP-43染色で行った。単剤ではどれも有意に神経保護効果が得られたが、tripletでは単剤に比べ有意に神経保護・軸索再生効果が増加した。doubletでは相加効果は見られなかったが、神経保護・再生促進作用は増加する傾向が見られた。 しかしながら、doublet-1では眼表面や網脈絡膜に新生血管の発生が見られた。増殖膜の免疫染色ではVEGFの発現増加が見られたが、詳細なメカニズムについては不明のままであった。NT-4が追加されたtripletでは血管新生が見られなかったことから、NT-4には血管新生を抑制する効果があることが推察された。 神経保護合剤点眼により、細胞レベルの神経保護だけでなく軸索レベルでの神経再生効果が得られることがin vivoの視神経挫滅モデルで確認された。また、3種類の合剤では単剤に比べ最も有意に神経保護・再生促進作用が見られた。今後、慢性疾患での神経保護点眼治療の効果の検討を行っていく予定である。本研究はScientific Reports 9(1):101 (2019)に掲載された。
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