研究課題/領域番号 |
16K11319
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澤村 裕正 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70444081)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 立体視 |
研究実績の概要 |
本研究では正常の生理学的評価のみならず疾患の病態生理の評価も可能であることが示された「陰影・肌理・動き・視差」の各要素で構成された三次元(3D)形態視覚刺激を用いて眼科疾患患者・健常群における両眼・単眼立体視機能を調べることを目標とし、同時に各構成要素成分による3D形態認知への影響を調べるため、各要素の特徴抽出課題も行っている。 本年度は斜視患者を中心にデータ収集及び解析を行った。その結果、斜視群と年齢をマッチさせた健常群では「視差」で構成された3D形態認知機能に差を認めた。別途行った特徴抽出課題の結果から、この差は斜視による元々の「視差」を認知する両眼立体視機能の低下に起因すると考えられた。「陰影」で構成された3D形態視覚刺激の認知では3D形態視覚刺激の“奥行”成分で斜視群は健常群より悪い結果となった。「肌理」で構成された場合には3D形態視覚刺激の“前額平行面”成分で斜視群は健常群より悪い結果となった。双方ともに特徴抽出課題では各構成要素である輝度、肌理の認知に差を認めなかった。そのため各構成成分の視覚入力による差ではなく、大脳皮質レベルでの関与が示唆された。一方「動き」で構成された3D形態視覚刺激の認知では、斜視群及び健常群との間で差を認めなかった。さらに両眼立体視機能が正常である斜視群と健常群とを比較したところ、「視差」「陰影」「肌理」「視差」で構成された3D形態認知において、いずれも斜視群および健常群との間で差は認められなかった。 両眼立体視機能が3D形態認知に影響を及ぼす可能性が示唆され、既知である3D形態認知での脳内情報処理機構と比較検討することにより、今回の課題結果は物体の認知に中心的な役割を果たす側頭葉系の関与が示唆され、頭頂葉系の関与は比較的少ないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
斜視患者に関してのデータを取得し、解析を加え、論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
斜視患者におけるデータをまとめ、論文として発表すると同時に、緑内障、黄斑変性の患者からもデータを収集する。また、ヘッドマウンド型視野計に視覚刺激及び課題制御プログラムを搭載することを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校正費として使用予定であったが、英文校正の会社の入金システムの入れ替えのため年度末までに支払ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
英文校正費として用いる。
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