本年度は、白色家兎ロドプシンP347LTgウサギ(Tgウサギ)の網膜変性における網膜内層機能を検討した。経時的な網膜電図の記録にて杆体系の反応は18か月でほぼ消失し、この月例でTgウサギの網膜機能は錐体のみになっていることがわかった。 そこで、18か月齢のTgウサギの網膜内層機能を2、3次ニューロンを抑制する薬剤を使い、Tgウサギにおいて網膜内層機能がどのように変化したかを検討した。白色家兎の18か月齢の野生型(WT)とP347LTgウサギ(Tg)それぞれ4羽を対象とし、種々の条件で錐体ERGを記録した。2、3次ニューロンを抑制する薬剤を硝子体内投与しERG波形の変化を解析した。光刺激off時にTgでは特異的な陽性波が確認され、この陽性波は薬剤投与による解析から主に3次ニューロン成分由来と考えられた。薬剤投与によるさらなる解析ではTgにおいてOFF型双極細胞以後の成分が増幅し、Tgの視細胞成分がかなり減弱していることが示された。これらの結果から、TgのERG波形はほとんどが2次ニューロン以後の成分であり、特にOFF型双極細胞以後の成分はWTよりも増幅していると考えられた。網膜変性の進行したTgにおいて2、3次ニューロンがリモデリングを起こし機能変化を起こしている可能性が示唆された。この内容はInvestigative Ophthalmolpogy and Visual Scinenceの2017年3月号に掲載された。 また、現在予定通りTgウサギのOCTの経過を追っており、やはり網膜内層が肥厚していることを確認している。すなわち、Tgウサギの視細胞変性において網膜内層はその機能と形態とが大きく変化しリモデリングを起こしていると考えられる。
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