研究課題/領域番号 |
16K11320
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上野 真治 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80528670)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 網膜色素変性 / 網膜電図 / リモデリング / 網膜変性モデル / 遺伝子改変ウサギ |
研究実績の概要 |
今年度は、Tgウサギの網膜機能と形態の長期経過(研究1)と角膜電気刺激による脳波、electrical evoked response(EER)と視神経の形態(研究2)について研究を行い、現在2つの論文を投稿中である。 研究1 Tgウサギの網膜機能の長期経過。New Zealand White(NZW)種由来のTgウサギ25羽25眼と野生型(以下WTウサギ)5羽5眼の全視野ERGを経時的に記録した。また、全視野ERGの消失したTgウサギ5羽5眼、WTウサギ5羽5眼(平均43.8月齢)の網膜厚をSD-OCTで測定し比較検討した。網膜の構造について透過型電子顕微鏡および光学的顕微鏡における検討も加えた。Tgウサギは30か月齢からERG波形が消失する個体が確認され54か月齢では全てで消失した。WTウサギのERGには特に異常所見は無かった。OCTで測定したTgウサギとWTウサギの網膜厚はほぼ同等であり、Tgウサギの網膜内層は肥厚していると考えられた。Tgウサギの網膜では透過型電子顕微鏡像にて視細胞が消失しており、内顆粒層や神経節細胞層の構造が著しく乱れやミュラー細胞の増殖がみられた。 研究2 視細胞消失後のEERと視神経の形態評価。全視野ERGの消失したTgウサギ6羽6眼(40.3か月齢)とWTウサギ6 羽6眼(43.8月齢)に対して経角膜電気刺激を行いEER記録した。記録後、安楽死させた後視神経の軸索の評価を行った。網膜内層機能を反映するEERはTgウサギで有意に振幅が低下していた。一方、Tgの視神経の軸索の本数はWTの約60%ほどに有意に減少していたが、その減少度はEERの振幅の方が有意であり、EERは軸索の残存数とは相関しなかった。このことは、EERは人工網膜の移植などでEERを利用する際には、視神経の形態がよい患者でも除外される可能性を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、研究はすべて終了し2本の論文を投稿中である。2018年度内に論文の受理はされなかったが、ほぼ予定通り進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
論文が査読されている状態であり、必要に応じて実験を追加する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はおおむね順調に進んだが、現在論文投稿中でありその掲載費を予定している。また、学会発表ための出張を予定しておりそのために使用する予定である。
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