研究課題
本研究の最終目標は、“上皮細胞による眼表面炎症制御機構の解明”にある。IKZF1は、リンパ球等の免疫細胞に発現しその分化増殖にかかわっていることが報告されている。申請者は、眼表面上皮にもIKZF1が発現し、眼表面炎症制御に関わっていることを世界で初めて見出した。本研究では、IKZF1による眼表面炎症制御機構を解明し、新規抗炎症治療薬への応用を目指す。平成28年度には、IKZF1による眼表面炎症ネットワーク機構の解析を目的に、培養細胞を用いた制御因子の解析を行い、ヒト培養眼表面上皮細胞においてIKZF1がTLR3のリガンドであるpolyICの刺激によりその発現が誘導されることを明らかとした。また、現在、培養細胞を用いたIKZF1発現抑制系を確立するために、様々な手技を試している。一時的な発現抑制系の確立の方法としては、siRNAの方法を試しており、iRNAの細胞内導入には、lipofectaminを用いて行っている。導入の確認は、GFPで行い、siRNAには、各種一種類のsiRNAで構成されるapplied biosystem社製のものならびに複数のsiRNAが入ったSigma-Aldrich社製のMISSION(R) esiRNAの両方を試している。さらに、ケラチン5をプロモーターとしてIKZF1遺伝子を導入したベクターを用いた、ケラチン5特異的IKZF1強発現マウス(K5-Ikzf1-EGFP Tg Mice)、つまり結膜上皮ならびに皮膚表皮等上皮特異的にIKZF1を強発現させたマウスが眼表面炎症を含んだ皮膚粘膜炎症を生じることより、その病態を組織学的に解析しており、炎症細胞の同定も進んでいる。
3: やや遅れている
培養細胞を用いたIKZF1発現抑制系を確立がや予定していたより時間がかかっており、研究の進行はやや遅れている。
IKZF1発現抑制系の確立のためのsiRNAの手技は確立できているので、IKZF1発現抑制のために用いるIKZF1 siRNAを多数試してみる必要があり、現在実施中である。
培養細胞を用いたIKZF1発現抑制系を確立がや予定していたより時間がかかっており、研究の進行はやや遅れているが、多種類のsiRNAを試して、この問題を打開し、予定通り研究を進める予定である。
平成29年度に入って多種類のsiRNAを購入し、持ち越した研究費を使用する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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