本研究では、IKZF1を介した眼表面炎症制御機構の解明を行い、下記を明らかとした。 1)ヒト皮膚ならびに眼表面上皮には、IKZF1が構成的に発現していることを、遺伝子レベル、タンパクレベルで明らかとした。2)IKZF1発現を制御する因子として、TLR3のリガンドであるウイルス由来の二本鎖RNA(polyI:C)を同定した。つまり、培養細胞を用いた解析で、TLR3のリガンドによりIKZF1遺伝子の発現が上昇することを明らかとした。3)IKZF1によって制御される因子として複数のサイトカイン・ケモカインを同定した。具体的には、各種遺伝子改変マウスの表皮細胞の網羅的遺伝子解析を行い、IKZF1により制御される因子を多数同定した。また、これら遺伝子制御は、遺伝子改変マウスを用いた解析のみならず、ヒト培養上皮にsiRNAを用いた解析によりも証明できた。4)各種遺伝子改変マウスを用いたIKZF1による眼表面炎症制御ネットワーク機構の詳細な解析として、結膜上皮ならびに皮膚表皮等上皮特異的にIKZF1を強発現させたIKZF1 Tgマウス(K5-Ikzf1-EGFP Transgenic Mice)を組織学的、免疫学的に解析し、皮膚ならびに眼表面粘膜、口腔粘膜等、皮膚粘膜炎症が自然発症することを、形態的にも組織学的にも明らかとした。さらに、遺伝子間ネットワークとしてIKZF1とTLR3、ならびに、EP3間のネットワークの存在を明らかとした。
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