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2016 年度 実施状況報告書

難治性眼炎症性疾患におけるアマクリン細胞による神経-血管相互作用の役割

研究課題

研究課題/領域番号 16K11330
研究機関東京医科大学

研究代表者

臼井 嘉彦  東京医科大学, 医学部, 講師 (50408142)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードぶどう膜網膜炎 / アマクリン細胞 / Neurovascular unit / 黄斑浮腫 / 難治性眼炎症性疾患 / microRNA / 液性因子
研究実績の概要

アマクリン細胞特異的Cre(ptf1aおよびGABAgenic)と各種血管構造の不安定化に関与する分子のfloxマウス(VEGF, VE-カドヘリン,HIF-1α,βカテニン)を交配させている。アマクリン細胞特異的VEGF, HIF-1α,βカテニン,TGF-βノックアウトマウスについては交配すみであり、アマクリン細胞特異的βカテニン,TGF-βノックアウトマウスの網膜血管のbranching pointは正常であったが、アマクリン細胞特異的βカテニンのみに網膜中層および深層血管の選択的形態異常がみられた。しかし、ptf1a-Cre; R26iDTR/+マウスによる解析により、アマクリン細胞と水平細胞を欠損させることによって網膜内の中層および深層の毛細血管の形態異常がみられた。
これらの結果から、アマクリン細胞および水平細胞が網膜内の中層および深層の毛細血管と相互作用し、血管の安定化に寄与する可能性がある。また、ヒトぶどう膜炎においてもベーチェット病で最もアマクリン細胞が障害され黄斑浮腫をきたしている可能性が考えられた。一方、難治性眼炎症性疾患として、ぶどう膜炎以外にも、ぶどう膜悪性黒色腫や眼窩悪性リンパ腫などにおいても病原微生物や炎症性サイトカイン(Angiogenin, MCP-1, IL-8)により病態が形成されていることがわかった。今後はこのような疾患においても神経―血管相互作用の観点から検討を行っていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Cre-loxPシステムを用い、アマクリン細胞とレポーターマウスおよび血管構造の不安定化に関与するfloxマウスと交配でき、順調に作成できている。マウスの実験と同時に、ヒトぶどう膜炎においてもOCT angiographyにより網膜内毛細血管を調べることで炎症による網膜毛細血管の破綻や視機能への影響を調べることができている。また、難治性眼炎症性疾患における新たな病態に関与するmicroRNA30aやangiogeninを同定することができ、これらの基礎的な研究成果も順調に得られている。また、ぶどう膜炎以外の難治性眼炎症性疾患についても新たな病態を解明することができ、2報アクセプトできた(Usui Y, et al. Sci Rep. 2016, Usui Y, et al. Graefe Arch Clin Ophthamol. 2017)。以上より、おおむね研究は順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

アマクリン細胞特異的VEGF, HIF-1α,βカテニン,TGF-βノックアウトマウスにおいて血管透過性が亢進しているか、網膜血管内皮細胞およびアマクリン細胞を中心とした網膜ニューロンの変性の有無を確認する。具体的には、ぶどう膜炎モデルでは、免疫後1週間、2週間、1か月、3か月後、6か月後で実験を行う。これらのマウスにFITC-BSAあるいはデキストラン静注法を用いた血管透過性およびBRB破綻の定量を各タイムポイントで行う。網膜血管内皮細胞および各種網膜ニューロンの変性の有無は、TUNEL染色およびcaspase 3の染色により評価を行う。また、ptf1a-Cre; R26td-tomato/+マウスについては、ぶどう膜炎を誘導することで、td-tomato陽性細胞であるアマクリン細胞が障害されるか否かをトランスジェニックマウスの観点からも検討する。また、ヒトぶどう膜炎におけるアマクリン細胞の役割を検討し、炎症により障害されたアマクリン細胞により網膜毛細血管の破綻や視機能への影響を調べる。各種ぶどう膜炎(ベーチェット病、サルコイドーシス、Vogt-小柳-原田病など)の緩解期および発作期における網膜内毛細血管と網膜内層厚を経時的にOCT angiographyにより評価を行う。網膜内毛細血管は、内顆粒層上端に分布する
中間血管層と内顆粒層下端に分布する深血管層にわけ、branching pointの評価を行い、網膜内毛細血管の密度と網膜内層厚と相関の有無についても検討する。また、難治性眼炎症性疾患の病態として新たにmicroRNAであるmir30aやangiogeninといった新たな分子を同定することができ、新規治療薬としての可能性も探る。またこれらの得られた研究成果を学術誌に投稿するとともに、国内および国際学会の場で研究成果を発表していく。

次年度使用額が生じた理由

未使用額25253円であり、ELISAキットや抗体を含めてこの金額では購入できないため。

次年度使用額の使用計画

未使用額25253円であり、ELISAキットや抗体を含めてこの金額では購入できないため次年度の予算と組み合わせて使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Aqueous immune mediators in malignant uveal melanomas in comparison to benign pigmented intraocular tumors.2017

    • 著者名/発表者名
      2)Usui Y, Tsubota K, Agawa T, Ueda S, Umazume K, Okunuki Y, Kezuka T, Yamakawa N, Goto H.
    • 雑誌名

      Graefe Arch Clin Ophthalmol

      巻: 255 ページ: 393-399

    • DOI

      10.1007/s00417-016-3541-5

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 黄斑浮腫の病因 血液-網膜関門およびNeurovascular unitの破綻の観点より2017

    • 著者名/発表者名
      臼井嘉彦
    • 雑誌名

      眼科

      巻: 59 ページ: 399-405

  • [雑誌論文] Comprehensive polymerase chain reaction assay for detection of pathogenic DNA in lymphoproliferative disorders of the ocular adnexa.2016

    • 著者名/発表者名
      6)Yoshihiko Usui, Narsing A Rao, Hiroshi Takase, Kinya Tsubota, Kazuhiko Umazume, Daniel Diaz-Aguilar, Takeshi Kezuka, Manabu Mochizuki, Hiroshi Goto, Sunao Sugita.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 6 ページ: 36621

    • DOI

      10.1038/srep36621

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] β-catenin in retinal amacrine and horizontal interneurons is important for maintain stability of the retinal vasculature.2016

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiko Usui, Toshihide Kurihara, Hiroshi Goto, Martin Friedlander
    • 学会等名
      日本網膜硝子体学会
    • 発表場所
      ベルサール渋谷
    • 年月日
      2016-12-02 – 2016-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] Retinal microglia are critical for subretinal neovascularization in a murine model of macular telangiectasia2016

    • 著者名/発表者名
      Usui Y, Kurihara T, Goto H, Friedlander M.
    • 学会等名
      ISER
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-09-25 – 2016-09-29
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] β-catenin in retinal interneurons is important for maintain stability of the retinal microvasculature.2016

    • 著者名/発表者名
      Usui Y, Westenskow PD, Kurihara T, Aguilar E, Paris LP, Sakimoto S, Murinello S, Bucher F, Feitelberg D, Friedlander M.
    • 学会等名
      ARVO
    • 発表場所
      シアトル
    • 年月日
      2016-04-30 – 2016-05-05
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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