研究課題/領域番号 |
16K11336
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
奥 英弘 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90177163)
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研究分担者 |
小嶌 祥太 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10388259)
小林 崇俊 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10567093)
池田 恒彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70222891)
高井 真司 大阪医科大学, 医学研究科, 教授 (80288703)
喜田 照代 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90610105)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | P7C3 / 視神経挫滅モデル / NAD / NAMPT / SIRT-1 / 網膜神経節細胞 |
研究実績の概要 |
P7C3 はアミノプロピルカルバゾールの1種で、神経保護に対する包括的in vivo スクリーニングにより抽出された薬剤である。作用機序としては、NAD合成系を賦活することが考えられている。視神経挫滅モデルを用い、P7C3の神経保護作用を検討した。 ラット視神経を球後2mmで挫滅し、P7C3 (20mg/kg/day) あるいは溶媒(DMSO) を3日間にわたり腹腔内投与した。day7で網膜を摘出、flat mountを作成し、TUJ-1 染色で網膜神経節細胞数を定量し、網膜神経節細胞(RGC)に対する神経保護作用を検討した。BAX/Bcl-2比をreal time PCR で定量し、網膜障害の程度を評価した。 処置後1 週間のRGC 数は、sham control の2009 ± 57.7/mm2に対し、placebo 群では980 ± 144/mm2 に減少した。P7C3 投与群では1266 ± 193/mm2とRGCは有意に温存されていた(P=0.01, Scheffe, n=5-7)。網膜のBAX 遺伝子発現には3群間で有意な変化はみられなかったが、P7C3 投与群ではBcl-2 発現がsham controlの1.68倍に亢進していた。BAX/Bcl-2 比はsham control 1.0 ±0.26 に対しplacebo群は 1.29 ± 0.60 に上昇していたが、P7C3 群では0.72± 0.27 に有意に抑制された(P=0.03, Scheffe, n=6-10)。またP7C3は視神経挫滅後のNAD減少を抑制し、NAMPT遺伝子、Sirt-1遺伝子の発現を亢進させた。 以上の結果から、P7C3 は視神経挫滅モデルに対し、神経保護作用を発揮しNAD合成系の関与が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の実験計画は予定通り施行でき、その内容は原著として公表されている。
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今後の研究の推進方策 |
P7C3の神経保護作用機序として、mTORを抑制し、ミクログリア、アストロサイトなどの活性化を抑制し、視神経損傷により生じるneuro-inflammationを抑制している可能性が示唆されている。mTORはさらにautophagyに関与し、視神経損傷で障害されるautophagy fluxを回復させる可能性が考えられる。これらはP7C3の新たな作用と考えられ、今後検討している予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に必要な物品に限って購入した結果、わずかに次年度に繰越可能な残金がでた。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体などの試薬購入に使用する。
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