研究課題/領域番号 |
16K11340
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤代 準 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60528438)
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研究分担者 |
石丸 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00633629)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ビッグデータ / 小児内視鏡手術 / 周術期合併症 / 急性虫垂炎 |
研究実績の概要 |
本研究では、2011年より開始されたNational Clinical Database(NCD)の小児外科領域データを用いて、国内小児外科施設における小児内視鏡手術の有効性の検討を行うことを目的としている。 本年度は研究初年度であったため、比較的症例数が多くデータが均質で解析が容易と予想される虫垂切除術を検討対象とし、国内小児外科施設における急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術と開腹の虫垂切除術を比較検討を行った。全術後合併症、術後30日死亡、術後入院期間をアウトカムとして、年齢、性別、虫垂炎の程度、腹腔内膿瘍の有無と程度、腹腔鏡手術/開腹手術を説明因子として多変量解析によりrisk調整し、開腹手術と比較しての腹腔鏡手術の有効性を検討する解析プロトコールを作成、NCDデータ(小児外科領域)の研究利用実施許諾権者である日本小児外科学会に申請し、平成29年2月に研究実施の承諾を得た。 NCD事務局で施行された予備解析結果では、2015年1年間の総手術数約5000件(うち内視鏡手術が3500件、開腹手術が1500件)、内視鏡手術のうち完全内視鏡手術は約2500件、内視鏡補助か手術は約1000件であった。内視鏡手術、開腹手術共に年齢の最頻値は10-12才で、年齢分布に差は認めなかった。合併症に関連しては、予期せぬ再手術が54件(内視鏡手術29件:0.8%、開腹手術25件:1.7%)であり、リスク調整を試行していない段階では内視鏡手術のほうが有意に再手術が少なかった。 今後データクリーニング、更なる解析を施行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NCDデータの研究利用許諾権限を有する日本小児外科学会での審査、承諾に時間がかかったため、若干計画が遅れている。今後の研究実施の律速段階はNCD事務局における解析作業になると予想されるが、予備解析において研究遂行上の大きな障害は認められなかったことから、今後は順調に研究が進行すると予想される。
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今後の研究の推進方策 |
急性虫垂炎の解析プロジェクトについては、今後本解析を進め、研究成果発表を行う予定である。並行して国内小児外科手術における小児内視鏡手術の基礎的検討のプロトコール作成を行い、日本小児外科学会に研究実施申請を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の支出の多くは、NCD事務局における解析作業に対する実費負担分となるが、平成28年度末時点でNCD事務局からの請求が無く支出されていないことから次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の請求に対する支出を行うと共に、研究解析・意見交換・成果発表のための旅費や物品費として使用予定である。 また、次年度に研究申請、解析開始予定の国内小児外科手術における小児内視鏡手術の基礎的検討についてもNCD事務局からの請求があれば次年度中に支出する予定である。
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