本研究では、2011年より開始されたNational Clinical Database(NCD)の小児外科領域データを用いて、国内小児外科施設における小児内視鏡手術の有効性の検討を行うことを目的としている。 国内小児外科施設における急性虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術と開腹の虫垂切除術を検討した。リスク調整を行った多変量解析の結果、術後30日以内の総合併症発生率の検討では、複雑性虫垂炎(壊疽性虫垂炎/穿孔あり/膿瘍あり)、施設の年間小児急性虫垂炎手術例15以下、が有意な危険因子となった。年齢や腹腔鏡手術は術後合併症の有意な因子ではなかった。 合併症頻度が高い小児複雑性虫垂炎について、手術時のドレーン挿入が術後アウトカムに与える影響について検討した。Propensity-score matching を用いたリスク調整の結果、手術時のドレーン挿入は総合併症発生率や腹腔内膿瘍発生率を低下させないこと、創部合併症を増加させること、術後在院期間を延長させることを明らかにした。 NCDデータを用いた先天性嚢胞性肺疾患の至適手術時期に関する研究計画を立案し、日本小児外科学会の承認をおよび施設の倫理委員会の承認を得た。 今年度は、上記研究につき、2編の英文論文を発表した。
|