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2016 年度 実施状況報告書

疾患特異的歯髄幹細胞を用いたヒルシュスプルング病モデル腸管の作製及び機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K11346
研究機関九州大学

研究代表者

伊崎 智子  九州大学, 大学病院, 講師 (90423491)

研究分担者 田口 智章  九州大学, 医学研究院, 教授 (20197247)
吉丸 耕一朗  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60711190)
岩中 剛  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70741198) [辞退]
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード脱落乳歯由来歯髄幹細胞 / ヒルシュスプルング病 / ヒルシュスプルング病関連腸炎 / SHED
研究実績の概要

ヒルシュスプルング病は先天的に腸管の神経節細胞が欠如するために腸管蠕動不全をきたし腸閉塞症状を呈する疾患である。発症に関与する遺伝子として、Ret遺伝子やエンドセリンレセプター遺伝子、エンドセリン3遺伝子などの異常が知られている。しかし単一遺伝子異常だけでは説明できず、多因子遺伝によると考えられている。
無神経節領域腸管を切除し正常腸管を肛門にひきおろすことで、根治とされるが、術後も残存腸管に腸炎をおこしやすく、時には致命的となりうる。腸炎を発症するヒルシュスプルング病モデルマウスにおいて、腸管炎症は胸腺縮小、脾臓のリンパ球減少、Bリンパ球酸性抑制などが観察されおり、腸管粘膜上での炎症のメカニズムについては、IgM,IgA J chain産生プラズマ細胞やCD57陽性natural killer細胞が炎症を起こした摘出腸管の固有筋層で観察される。このことから局所的、全身的な免疫系の異常も伴い腸炎が発生すると考えられるが、腸管粘膜上での分子生物学的な炎症の機序については完全には解明されていない。
歯髄幹細胞は脱落した乳歯の歯髄から得られる多能性幹細胞であり、細胞増殖能が高く、遺伝子導入をせずとも入手しやすいソースであると考えられる。遺伝子レベルでの異常があれば幹細胞もその性質を受け継いでいると考えられることから、ヒルシュスプルング病患者の遺伝的バックグラウンドを持った類似的腸管モデルを作製することが可能ではないかと推察している。この腸管粘膜モデルを用いて、粘膜上でどのように炎症過程がすすむのか、その際にどのような粘膜上のレセプターが関与するのか、もしくは細胞の平面的な極性が破壊されて粘膜構造が維持できなくなるのかなどについて追求していきたい。
そのため、ヒルシュスプルング病患者から得た歯髄幹細胞を用いた腸管モデルの作製、可能であれば3次元培養まで行う系の確立を行いたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本研究における細胞のソースは自然に脱落した乳歯である。そのため、当該年度において、乳歯が生え変わる時期のヒルシュスプルング病患者が当院でフォローされていなかったためcell sourseが得られなかった。

今後の研究の推進方策

乳歯が脱落しうる年齢のヒルシュスプルング病患者を外来で経過観察していると考えられる関連病院小児外科などと協力を仰ぎ、当該患者を紹介していただき脱落乳歯の提供をお願いし、研究にたいして協力をいただく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は実際に脱落乳歯歯髄由来幹細胞を得ることができず腸管モデルの作成に至らなかったため、使用を予定していた試薬、培養液、実験器材などの消耗品をほとんど使用することがなかった、また、細胞保存にかかる維持費等も発生しなかった。そのため、物品費と雑費を最低限使用するにとどまった。

次年度使用額の使用計画

ヒルシュスプルング病患児の脱落乳歯が入手できた場合、歯髄幹細胞の抽出、培養、保存、その後の腸管への分化誘導を進める予定であるので、平成28年度に使用しなかった物品費などをそのまま活用する。
また、ヒルシュスプルング病の臨床研究を聴講し、ヒルシュスプルング病関連腸炎に関しての最新の知見を獲得するために学会参加を予定している。

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公開日: 2018-01-16  

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