研究課題/領域番号 |
16K11355
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金田 英秀 日本大学, 医学部, 助手 (30598967)
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研究分担者 |
古屋 武史 日本大学, 医学部, 助教 (20568539)
藤原 恭子 日本大学, 医学部, 助教 (40595708)
越永 從道 日本大学, 医学部, 教授 (70205376)
植草 省太 日本大学, 医学部, 専修医 (70746338)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / 脱分化脂肪細胞 / 分化誘導療法 |
研究実績の概要 |
昨年度は神経芽腫細胞株SK-N-SH、NB9とDFATとの直接共培養により神経突起の伸長などの形態変化や分化有無などを検討したが、既報によると神経芽腫細胞株と間葉系幹細胞(MSC)の共培養は間接共培養、すなわち液性因子により神経芽腫細胞株の形態変化がもたらされることが言われており、昨年度の実験内容を元に、同様の実験を間接共培養で行うこととした。 ヒト神経芽腫細胞株のうちSK-N-SHとNB9で、DFATと7日間の間接共培養を行うと、神経芽腫細胞で神経突起の伸長を認めた。さらに神経芽腫細胞を用いて、神経分化マーカーとしてNFとTubβ3の発現をReal-time RT-PCRで解析した結果、DFATとの間接共培養群でNFとTubβ3の発現上昇を認めた。 また、既存の維持療法として確立している、神経芽腫患者に対してレチノイン酸投与による分化誘導療法と比較するため、神経芽腫細胞株とDFATの間接共培養に加えてレチノイン酸の投与が必要であるが、DFATの培養系にレチノイン酸が加わるとDFATに骨分化誘導がかかり、DFATの形態や放出される液性因子の変化が懸念される。そこで、神経芽腫細胞株+DFATの培養上清+レチノイン酸で培養を行い、神経芽腫細胞の形態変化と分化の有無について検討する方法をとることとした。まずは、DFATの培養上清を精製するにあたって、DFATが無血清または低血清で培養可能かを検討したところ、いずれも72時間培養でDFATの増殖に問題ないことが確認された。今後は、この培養上清を用いてレチノイン酸との比較検討を行い、さらに神経芽腫細胞を分化誘導するDFATから放出される液性因子の解析を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経芽腫細胞株SK-N-SH、NB9とDFATとの直接共培養により神経突起の伸長などの形態変化や分化有無などを検討したが、既報によると神経芽腫細胞株と間葉系幹細胞(MSC)の共培養は間接共培養、すなわち液性因子により神経芽腫細胞株の形態変化がもたらされることが言われており、昨年度の実験内容を元に、同様の実験を間接共培養で行うこととした。 前年の実験結果が液性因子による共培養でも同様に得られれば、より臨床へ応用しやすいため、一部方針を転換したため計画よりやや遅れて進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、既存の分化誘導療法として用いられているレチノイン酸との比較検討を行い、さらに神経芽腫細胞を分化誘導する、DFATから放出される液性因子の解析を行っていく予定である。 また、これまでin vitro で解析を行った細胞株を使用し、腫瘍モデルマウスを作製する。(a) DFAT 局所投与群、(b) 13-cis RA経口投与群、(c) DFAT 局所投与と13-cis RA 経口投与併用群、(d) 未処理の群に分け、6 週間観察を行い、腫瘍径を測定し増殖速度を比較する。その後解剖を行い、転移の有無を調べる。摘出した腫瘍について、神経栄養因子受容体と細胞分化のpathway に関わる下流の経路を上記と同様の手法で解析する。これにより、神経芽腫におけるDFAT を用いた新規分化誘導療法としての可能性を検討する。
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