研究課題/領域番号 |
16K11358
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研究機関 | 群馬県衛生環境研究所 |
研究代表者 |
山田 佳之 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (80309252)
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研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 医学研究院, 教授 (20197247)
林 泰秀 群馬県衛生環境研究所, 研究企画係, 研究員 (30238133)
加藤 政彦 東海大学, 医学部, 准教授 (30292593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 消化管アレルギー / 先天性消化管閉塞性疾患 / 好酸球 |
研究実績の概要 |
消化管アレルギーの一つである好酸球性消化管疾患(EGIDs)(好酸球性食道炎[EoE]と胃腸炎[EGE])患者を、今後の検討のため新規を含めさらにリストアップした。今年度は特にEoE に関連する症例について検討をすすめた。具体的には一次性EoEと診断できた症例2例が新たに加わり、先天性食道狭窄に関連した患者では手術前後で食道好酸球浸潤が確認できた症例が存在した。先天性食道閉鎖・狭窄に関連して食道好酸球増多が引き起こされる理由を明らかにすべく、対照となる好酸球浸潤の著明でない先天性食道閉鎖・狭窄症例についてもリストアップし、診療録ベースで患者情報を収集した。今回、一次性EoEと診断できた症例、先天性食道狭窄術前後で観察できた症例、さらにこれまでにも多数存在した先天性食道閉鎖・狭窄術後の食道好酸球増多症例群、先天性食道閉鎖・狭窄術後だが好酸球浸潤が著明ではない症例群がそろったことにより、今後の比較が可能になった。また、EGE関連ではヒルシュスプルング病(H氏病)1名が寛解後にステロイド治療を終了できたので寛解状態での評価の準備ができた。また対照群となる消化管閉塞性疾患のない一次性EGE症例において、全身性ステロイドや食事療法を行わなかった軽症例と中等症以上の症例との比較を行った(学会抄録受理)。さらにEGIDsの患者相談の中に好酸球増多症候群の鑑別を要する例が散見され、とくに骨髄増殖型でのキメラ遺伝子の解析についてはこれまでの定性RT-PCRに加え、定量を行える実験系も整えた。また作成に関与したヒルシュスプルング病(H氏病)類縁疾患ガイドラインが公開され、学術論文としても受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究目的に合致する新規の患者がさらに集積できており、他施設とも連携し、より多くの症例について今後の解析が可能な状況になってきている。しかしながらin vitroの検討など、より基礎的な検討が十分にすすめられていない。基礎的な研究をすすめるにあたって、準備に時間がかかっているためと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体をさらに収集し、平成28、29年度に得られた検体とあわせて、患者情報・検査結果を詳細に検討し、家系や対象を絞り込んで、疾患群および疾患対照の検体をそろえて、最終的には網羅的解析をすすめる予定である。また好酸球性消化管疾患患者全体では好酸球増多症候群の鑑別が必要とされる症例も予想以上に多いことから、消化管閉塞性疾患での消化管アレルギー・好酸球性消化管疾患との比較対照として好酸球増多症候群疑い症例も検討を行う予定である。また後方視的検討では消化管閉塞性疾患患者の再評価をすすめる。その中から指標を絞り新規の患者での検討につなげる。基礎的検討としてはフローサイトメトリーによるTh1/Th2の検討はさらに検体数を増やして、病勢との関連も含め検討する予定であり、好酸球関連分子発現・好酸球傷害性の検討(in vitro)も細胞株と好酸球、好酸球性細胞株の共培養系から検討をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬などの費用がかかる基礎的検討が予定よりも遅れており、新規購入が少なかったことが理由である。試薬や装置を使用する研究ががすすむにつれ使用額が大きくなると思われる。特に遺伝子等の網羅的解析にはより多くの費用がかかることが予想される。
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