研究課題
先行研究にて幼若ブタの耳介軟骨から分離した軟骨細胞は培養により急激に増殖し、培養細胞をpoly-L-lactic acid (PLLA)を足場として移植時にbFGFを注入し腹部皮下に自家移植するとインプラント型軟骨形成が促進されることが分かった。この耳介軟骨を培養し、培養軟骨と足場であるPLLA、ならびにbFGFとともに腹部皮下に移植して作成したインプラント型軟骨を軟骨を採取したブタの気管1/3~1/2周径を切除し、パッチグラフト移植(自家移植)を行った。移植後5週(N =3)ならびに移植後11週(N =3)に気管支鏡を使用して内腔の観察を行った。更に犠牲死後に病理組織検査にて軟骨再生や細胞浸潤、瘢痕形成などの有無を評価した。5週に比較し、11週では気管支鏡検査にて内腔の狭小化がみられ、病理組織ではPLLAに対して異物反応による炎症性細胞浸潤ならびに瘢痕(線維化)の形成を認めた。現時点で使用しているPLLAを足場としたインプラント軟骨はIN VIVOの移植で気管狭窄を回避することは困難なことが予想された。
3: やや遅れている
インプラント型軟骨製造ならびに移植は、耳介軟骨採取、培養(4週間)、PLLAと皮下移植(4週)、気管パッチ移植、と行程が複雑である。先行研究では足場として2つのPLLAを使用して移植まで計5匹施行したが、11週での観察にて著明な狭窄がみられ、病理組織の解析にてそれが、PLLAへの異物反応結果、線維瘢痕化することが判明した。このためなるべく反応の少ない、新しいPLLAを探しているところである。現在、大学での長期研究(6か月から1年以上)は困難であるため、施設で研究を遂行する必要がある。そのためにはマイクロミニブタ購入代金と管理費で2匹程度でも100万円近くの研究費が必要となってくることが問題である。以上のことから研究が遅れ気味である。
異物反応の少しでも少ないPLLAを足場として使用することが理想である。ただ、他家気管を高圧脱細胞化してこれを足場としてパッチ移植するとこの脱細胞他家気管の中にレシピエントの軟骨細胞が中あるいは下層に入り込んだ形で軟骨が再生していくことが長期研究の結果はっきりとしてきた。足場としてPLLAという人工物を使用するよりは脱細胞化他家気管を足場としてレシピエント気管の再生を促すことも考えている。
予想経費と実際の購入費に少額の金額の差があったため。
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