研究課題/領域番号 |
16K11361
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高成 啓介 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (80378190)
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研究分担者 |
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
中村 優 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00739724)
蛯沢 克己 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20397459)
中村 亮太 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 医師 (40761060) [辞退]
神戸 未来 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50597862)
内堀 貴文 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30625760)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / 多光子顕微鏡 / コラーゲン |
研究実績の概要 |
本年度までにヒトケロイド・肥厚性瘢痕・正常皮膚サンプルを15例採取し、二光子顕微鏡による観察を行った。皮膚サンプル内のコラーゲンおよびエラスチン繊維の観察は約250μmの深さまで行うことが可能であった。得られた画像に対し、Image Jによる解析に加え幾何学専門家による解析を行った。 これにより以下の結果が得られた。①正常皮膚サンプル中にはエラスチンを豊富に認めたがケロイド・肥厚性瘢痕中にはほとんど認めなかった。②体幹(胸腹部)において正常組織およびケロイドを比較したところ正常組織の方がケロイドに比べ頭尾側方向に配列していることが分かった。また、ケロイドの方が繊維の方向性について分散が少ない傾向にあった。③体幹のケロイドの方が耳垂ケロイドに比べ頭尾側方向の配向がやや高かった。また、体幹と耳垂では繊維の方向性の分散に差は認められなかった。④orientation index(OI)の平均値は体幹ケロイド:0.58、耳垂ケロイド:0.58、正常皮膚:0.57であり、補正OIは体幹ケロイド:0.52、耳垂ケロイド:0.45、正常皮膚:0.54であった。 これらの結果より以下の考察を行った。①ケロイドや肥厚性瘢痕ではコラーゲンの生成が多いため、エラスチンの生成が進まないと考えられる。これが瘢痕の硬さにつながっている。②ケロイドではkeloid bundleと呼ばれる繊維束を形成することがあり、繊維方向の分散が少なくなっていると考えられる。③胸腹部は力学的刺激を受けやすいため、周囲環境の力学的刺激がコラーゲン繊維の配向に影響を与えた可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までにヒトケロイド・肥厚性瘢痕・正常皮膚サンプルを15例採取しImage Jによる解析に加え幾何学専門家による解析も行っており、ある程度の成果が得られているが、手術により得られるヒトケロイド検体数が思ったより少なかったことにより解析を行うに十分なサンプルとは言えない。サンプル数の追加および病理検査、動物モデルでの評価などが追加で必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は解析を進めるにあたり必要なサンプル数を加えること、病理組織検査を行うこと、動物モデルでの評価を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度までにヒトケロイド・肥厚性瘢痕・正常皮膚サンプルを15例採取しImage Jによる解析に加え幾何学専門家によ る解析も行っており、ある程度の成果が得られているが、手術により得られるヒトケロイド検体数が思ったより少なかったことにより解析を行うに十分なサンプルとは言えない。サンプル数の追加および病理検査、動物モデルでの評価などが追加で必要であり、次年度に行う予定である。
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