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2017 年度 実施状況報告書

動静脈奇形における新生血管の分子制御機構 ~病的血管はいかに新生するか?~

研究課題

研究課題/領域番号 16K11365
研究機関神戸大学

研究代表者

野村 正  神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (30529566)

研究分担者 寺師 浩人  神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80217421)
橋川 和信  神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90403237)
榊原 俊介  神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50444592)
高須 啓之  神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40566022)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード血管奇形 / 動静脈奇形
研究実績の概要

血管奇形は先天性の血管性病変であり、特に動静脈奇形(AVM)は軟部組織の醜状変形にとどまらず筋骨格系の変形、病変からの大量出血など組織を破壊することもあり、日常生活に著しい制限を昌実。病変の多くは進行性であり、難治病変では進行を止める手段さえもない場合がある。AVMを含む血管奇形の病態生理および悪化の機序には不明な点が多い。われわれは本研究を通じて、血管奇形における新生血管の形成過程について、1.幹細胞の有無、2.Angiopoietin(Ang)の関与、3.機械的刺激の関与の3つに焦点を当てて分子生物学的側面より評価し、本疾患の分類・診断基準作成の補助ならびに疾患遅漏の確立へ結びつけることを目的とした。われわれはこれまでの研究で、AVM由来の血管内皮細胞の増殖能が正常動脈に比べて明らかに高いという実験結果を得た。この理由の一つに未分化な細胞が正常動脈より多く存在することが推察される。臍帯血には造血幹細胞以外に間葉系細胞ののmesencymal stem cell(MSC)や血管内皮前駆細胞といった幹細胞や前駆細胞が存在することが明らかとなっている。そこで、血管奇形に対して種々のMSCマーカーに関する検討を行う。またAngのうちAng1は血管内皮細胞と壁細胞の安定化を促す。一方、組織が低酸素状態にさらされるとAng2が内皮細胞と壁細胞の接着を抑制することで、内皮細胞が誘導され血管新生へと導く。体表のAVMにおけるAngの関与を分子生物学的に検討する。
AVM悪化の機序として、外傷や不適切な部分切除が指摘されている。何らかの機械的刺激が、血管内皮細胞の発芽を通じて血管新生を生じる可能性が十分に考えられる。還流培養でシェアストレスを変化させて細胞形態の変化やsprouting assayによる血管内皮細胞の発芽の程度を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

増殖因子の検討に動静脈奇形由来血管内皮細胞(AVMVEC)を単離培養し、mRNAを抽出した。正常動脈由来血管内皮細胞(NAVEC)を含めてマイクロアレイで網羅的に検討したところ、複数のサイトカインで両者に著明な差を認めた。その中でもSELPは免疫組織学的検討でもAVMで有意な差を示した。
還流培養では、HUVECを用いて培養液の還流速度や細胞数など至適条件設定を行っている。

今後の研究の推進方策

上述のマイクロアレイで網羅的検討を行った増殖因子(特にSELP)に関して、リアルタイムPCRならびにウエスタンブロッティングで発現を検討する予定である。
また、還流培養においても増殖因子の発現を検討する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)手術で得られた標本が予想より少なく、細胞培養のコストが当初計画より少なくなった。また研究者自身が主に実験する機会が多く、人件費の拠出が少なかった。学術集会の開催都市が大阪のため、旅費の拠出がなかった。
(使用計画)次年度では、細胞培養に加えで免疫組織学的検討に必要な試薬の購入で予算が必要である。また国際学会に演題登録しており、旅費の拠出も見込まれる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 【レーザー治療の合併症から学ぶ】 乳児血管腫に対する早期レーザー治療により潰瘍を生じた1例2017

    • 著者名/発表者名
      森脇 綾, 江尻 浩隆, 野村 正
    • 雑誌名

      形成外科

      巻: 60 ページ: 1359-1363

  • [雑誌論文] 【頭頸部動静脈奇形の最新治療】 動静脈奇形に対する手術療法 nidusを見極めるわれわれの試み2017

    • 著者名/発表者名
      野村 正, 江尻 浩隆, 櫻井 敦, 川北 育子, 橋川 和信, 寺師 浩人
    • 雑誌名

      形成外科

      巻: 60 ページ: 649-660

  • [雑誌論文] 似たもの画像、あいまい画像を一刀両断! 画像診断道場 実はこうだった(第74回)2017

    • 著者名/発表者名
      野村正
    • 雑誌名

      日本医事新報

      巻: 4871 ページ: 7-8

  • [雑誌論文] なんでも健康相談.「血管腫」について教えてください2017

    • 著者名/発表者名
      野村正
    • 雑誌名

      NHKテキストきょうの健康

      巻: 3 ページ: 114-114

  • [学会発表] 【シンポジウム5 血管奇形:自験例から見た「良い」「悪い」部分切除の条件】当科における血管奇形の部分切除の戦略と工夫 -脈管の構成要素に応じた手術術式-2017

    • 著者名/発表者名
      野村正、江尻浩隆、橋川和信、寺師浩人
    • 学会等名
      第60回日本形成外科学会総会学術集会(大阪市)
  • [学会発表] 乳児血管腫の診断と治療2017

    • 著者名/発表者名
      野村正
    • 学会等名
      第9回血管腫血管奇形講習会(郡山市)
  • [学会発表] 動静脈奇形に対するマイクロアレイによる網羅的検討2017

    • 著者名/発表者名
      野村正、榊原俊介、橋川和信、寺師浩人
    • 学会等名
      第26回日本形成外科学会基礎学術集会(大阪市)
  • [学会発表] 色素レーザー照射後に潰瘍を生じた乳児血管腫症例の検討2017

    • 著者名/発表者名
      野村正,江尻浩隆,森脇綾,岩山隆憲,榊原俊介,髙須啓之,長谷川泰子,石椛寛芳,橋川和信,寺師浩人
    • 学会等名
      第30回日本レーザー医学会関西地方会(神戸市)
  • [図書] 腫瘍・母斑・血管奇形 (形成外科治療手技全書)2018

    • 著者名/発表者名
      野村正ほか
    • 総ページ数
      227
    • 出版者
      克誠堂出版
    • ISBN
      978-4771905016
  • [図書] 皮膚科医・形成外科医のためのレーザー治療スタンダード 確かな治療を行うための知っておくべき知識と正しい手技2017

    • 著者名/発表者名
      河野太郎、野村正ほか
    • 総ページ数
      221
    • 出版者
      羊土社
    • ISBN
      4758118132, 9784758118132

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公開日: 2018-12-17  

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