研究課題/領域番号 |
16K11370
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
清水 雄介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10327570)
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研究分担者 |
角南 寛 琉球大学, 医学部, 特命助教 (50374723)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脂肪組織由来幹細胞 / 顔面神経麻痺 / 細胞シート |
研究実績の概要 |
陳旧性顔面神経完全麻痺、不全麻痺に伴う表情筋機能不全(萎縮、拘縮、病的共同運動)に有効な治療は確立されていない。顔面神経麻痺は笑えない、眼を閉じることができない等、罹患者の日常生活に多大な苦痛をもたらす疾患であり、日本でも数多くの患者が存在している。本研究は陳旧性顔面神経麻痺に伴う表情筋機能不全に対して、ヒト由来脂肪組織由来幹細胞(ADSCs)を積層化したシートとして移植することで、ADSCsのもつ成長因子放出能、筋肉への分化能による新たな顔面神経麻痺治療法を開発することを目的としている。 現在まで、琉球大学臨床研究倫理委員会の承認の下(承認番号810)、以下の研究を行った。まず琉球大学医学部附属病院内で通常の手術において廃棄されるはずの脂肪組織を患者さんの書面の同意の下に採取する。同脂肪組織を専用の滅菌容器に充填し、琉球大学再生医療研究センター内の細胞培養加工施設(CPC)まで運び、同脂肪組織に対してペニシリンによる静菌処理を12時間行った後、コラゲナーゼ処理を行い、脂肪組織からADSCsを抽出する。抽出されたADSCsを数週間、大量に高純度培養した後、得られた大量のADSCsをコラーゲンシートに播種して、4平方センチメートルの単層ADSCsシート作製を行った。さらにこのADSCsシートを重ね合わせた積層化シートを作製した。また顔面神経麻痺モデルラットを6匹作成し、それぞれ顔面半側に積層化シートの移植を行った。積層化シートの移植を行ったサイドは、そうでない方に比べて顔面神経の回復が早期に見られた。また積層化シート移植したモデルラットをCT撮影すると、石灰化がみられた。また不織布を用いることにより、コラゲナーゼを用いないで脂肪組織由来幹細胞を分離抽出するための方法を開発し、特許出願を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脂肪組織由来幹細胞の積層化細胞シートの作製、顔面神経麻痺ラットモデルへの移植を行い、評価を行っている。また不織布を用いて脂肪組織由来幹細胞を分離抽出するための方法を開発し、特許出願を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪組織由来幹細胞の積層化細胞シートが患部で石灰化している状況の確認を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)琉球大学医学部細胞培養加工施設の使用料(受益者負担)について他予算により補填が可能であったため。 (使用計画)2019年度以降に行う動物実験モデルの購入費用に使用する。
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