研究課題/領域番号 |
16K11373
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
元村 尚嗣 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30382188)
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研究分担者 |
羽多野 隆治 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10382144)
八代 正和 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60305638)
藤川 平四朗 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (80740373)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 悪性黒色腫 / 癌関連線維芽細胞 / 癌微小環境 |
研究実績の概要 |
当研究は、皮膚悪性黒色腫の微小環境に着目し、癌微小環境に含まれる皮膚線維芽細胞が産生する悪性黒色腫の増殖因子を解析・同定し、その阻害剤を用いた悪性黒色腫の新しい治療薬を開発することを目的としている。 平成29年度は昨年の研究実績を踏まえて、以下の通り研究を進めた。 1. 昨年度は皮膚癌関連線維芽細胞の培養上清から、いくつかのサイトカインを悪性黒色腫細胞の増殖を促す候補物質として同定した。これらの物質を添加した条件下で悪性黒色腫細胞の進展能について検討を行ったが、候補物質のほぼすべてで増殖能、遊走能および浸潤能のいずれにおいても有意な変化は確認できず、新たな候補物質の検討が必要となった。 2. そこで改めて癌関連線維芽細胞から得た培養上清による悪性黒色腫細胞の反応を検討したところ、特定の線維芽細胞株の上清で増殖能が著しく増加することが確認できた。すでにCytokine assayは前年度に行っていることから、増殖能への影響を認めた細胞株と反応性の乏しい細胞株で上清中のサイトカインを比較検討したところ、増殖能の増加を示す細胞上清で分泌量が明らかに減少している物質が複数種あり、その結果から3種類の候補物質を新たに同定した。これらの物質を添加した条件下で悪性黒色腫細胞の増殖能を検討した結果、1種類のサイトカインで悪性黒色腫の増殖を抑制する結果が得られた。現在、この物質に焦点を当てて、増殖能に及ぼす影響をさらに検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は候補物質の絞り込みを進めたが、同物質を用いた検討では悪性黒色腫への有意な変化は確認できなかった。そのため再度昨年度の同実験を行う必要があり、そちらに実験時間を割くこととなった。結果として悪性黒色腫細胞の増殖能に影響を及ぼす可能性が考えられる物質を同定できたことから再検討は有用なものであったが、研究の進捗については予定よりやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では悪性黒色腫細胞の進展について多角的に評価するため、増殖能・浸潤能・遊走能の3点を評価する研究を進めていた。しかし本年度の結果から悪性黒色腫細胞への影響は主に増殖能に限られているため、今後は増殖能を中心として研究を進めていく。 候補物質の直接添加による変化はすでに確認できていることから、線維芽細胞上清へ同物質の中和抗体を添加した条件で悪性黒色腫の増殖能を検討し逆説的にその効果を検討する。また並行して他の候補物質の同定も引き続き継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初、サイトカインや中和抗体などの試薬を購入予定であったが、本年度初期に候補物質の再検討を行うこととなったため、想定していたものより上記試薬の使用機会がほとんど無く、結果として物品購入が少なくなったため。 (使用計画) 本年度は候補物質をはじめとして各種サイトカイン及びその中和抗体、受容体リガンドなど種々の試薬を購入予定である。また研究成果発表のため国際学会への参加も計画しており、交通費・滞在費などにも使用する機会が増えると考えられる。
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